第3話 白石 彩花
今日は入学式が終わって、初めての学校だ。今日も今日とて無気力系男子を演じますか。
家から学校まで電車通学なので、朝早く起き、妹に見つからないように支度をする。両親は朝早くから仕事でいない。
だいたい今の時間は、7時くらいか。ちょうどいい時間なので出発することした。その移動時間も、もちろん無気力系男子について考えながら電車にのった。
学校に着くと秘技気だるけな表情!をして教室に入った。すると、既に大体の生徒がきていた。特にすることも無いので、いつもの如く机に突っ伏して寝る 。
そんな事をしていると、クラスの違和感に気がついた。入学式の次の日にしては、みんな騒がしい。
少しだけ顔上げて辺りを見渡して見ると、もう既にグループが出来ていた。一軍の陽キャのグループ、二軍みたいな感じのグループ、オタクたちのグループ。そんな感じでグループが形成されていた。
何故だろうかと思い返してみる…… あ。
そういえば入学式の初日に親睦会みたいなのがあったんだけ?無気力系男子ムーブをして親睦会を無視したのを思い出した。恐らくそこでグループが出来たのだろう。全員が全員そうというわけではないが。そんな事を思い出していると、横から
「ねぇねぇ」
と話しかけられた。体勢を起こして横を向くと、そこには女神のような美貌もった人がいた。
名前は知らないけど、髪は金色でカチューシャを着け、その美貌は見る人全員を引き付けるような魔力があった。
「なに?」
と返事を返す。冷静な顔で取り繕う。これが無気力系男子。美少女に話かけられた時の反応だ。
「私は白石 彩花(しらいし あやか)隣の席だね!これからよろしくね!」
「ああ、よろしく」
なんとか無気力系男子を演じることができた。これは相当いいのではないか?不意打ちだったが。美少女に話かけられても、動じることなく冷静に淡々と必要最低限の言葉を返す。これぞ無気力系男子ってかんじだ!
「え、それだけ?もっとこうなんか僕の名前はなになにだよー。これからよろしくね!みたいな感じで返すくない?ふつうは!」
「じゃあー、俺は神田 瑛二これからよろしく。」
「じゃあってなに!まぁいいや。これからは瑛二くんってよぶね!改めてよろしくね、瑛二くん」
「よろしく。白石さん」
と言ったと同時に真由美先生がはいってきて、席に座れーと言う声の元みんな席に座るそして朝礼がはじまる。先生の話を聞き流しながら俺は、白石さんとのやり取りを思い出す。
我ながらいい無気力系男子ムーブだったなと思い返す。ああいう女子は距離の詰め方が尋常じゃない。初対面で名前で呼ぶなどコミニケーション能力の塊だ。
多分白石さんは、男女問わずモテるタイプの人間だ。あざとさをMAXにして、他人とコミニケーションを取る。そうすれば初対面の人でも良好な関係を作れるだろう。多分あれは自覚してやっていると俺は思う。無自覚の方が逆に恐ろしいぐらいだ。
無気力系男子は、ほとんどが独特な思考を持っている。ひねくれていると言った方がいいのか。俺がさっき白石さんの性格を分析しようとしたのも、無気力系男子に倣っての思考だ。ヒロイン1人ずつの本質を見抜く。無気力系男子ムーブ、我ながらにかっこいい。さぁ、もう少し白石さんを使って無気力系男子ムーブを楽しむとしよう。
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