第2章本編 勇者学院編

第30話 テンプレ的学院物語

『試験スタート!』


その掛け声に合わせて私はゆっくりと眠る。

余りにも退屈な時間が始まった


最終試験をクリアしたものだけが入学できるのがこの勇者学院の伝統。


なのだが、リツ含めレフィア、ノエル、フォールはそんな物関係なく合格を貰っていたので

今はみんなの最終試験を眠そうに眺める羽目になっていた


いや、仕方なく無い?と私は思う


ただ試験受けただけなのに何故か変な陰謀に巻き込まれ、それをぶっ飛ばしたら暇が増やされるって


……世界は理不尽でできている


「退屈ですわ」「それなですぅ」「すまない、剣の練習をして来てもいいか?」


全員興味なしな現状に


「あ、あの?……せめて見てあげてください……」


「めんどくさいですわ……そもそもただの弱いものの見せつけないなんて面白みにかけますわ」


レフィアの言うことは同感だ。


実際、ノエルはつまらなさ過ぎて魔力魔法でおもちゃを作って遊び始めているし


フォールは普通に剣を練習しにどこかに行ってしまった。

ちなみにあの後フォールはトイレに言っていたのだとか言っていたが


あれは間違いなく何かを隠している顔だった。



◇◇


「……済まないな、皆……だが、私にはもうこれしか道がないのだ」


フォールは独り、つぶやく。その顔には覚悟と苦しさの混じりあったそれが染み付いていた

「おいおい……フォールちゃん?……君って確か……」


私はその声に従いその場を離れる。

そうして私の悲しく退屈な日々が始まる……





「ヒャッハーなーにやってんだァ?」


「?!な、に?!」


私の肩を掴んでいた男の手が吹き飛ばされる。

「な、何者ぐはぁ?!」


「いやぁ、暇すぎてさぁ……なんか面白いことねぇかなって探してたらさァ……なんか楽しそうなことやってんじゃんかよォ」


リツはゆっくりとガントレットを装備し、それを使いぶん殴る。


「き、貴様ら!誰に向かってその拳を握……ひぎゃあ?!」


「あ?」


なんかよく分からねぇけど楽しくなってきたじゃねぇか?

リツの周りに集まってくる人影、それはどうやらフォールの肩を掴んだ男の仲間のようだが

そいつらを全員指さして私は叫ぶ


「良いねぇ?!1人に対してその数!……ふぁああ!楽しいねぇ!」


構えた拳をゆっくりと握り直し、私はかけ出す。


普通に考えてそんな時は先生を呼ぶべしなのだが、そんなのどうでもいいに決まっている。

なぜなら、そいつこそ、リツなのだから


「て、てめぇ、ふざけんじゃねえぞ!」


◇◇



「で?何か謝ることは?」


私は先生に怒られていた。学院内での戦闘は基本禁止されている。

ちなみに目の前の男たちは全員伸びているので、私だけが怒られていた。


「そもそも、こいつら楽しそうなことしてたんですよ……それなら突っ込まないと損かな……って」


先生はすっごい顔してから頭を抱えて


「そもそもなんで殴ったんですか?」


「え?チェーンソーで切り倒しても良かったんですか?」


私は無からチェーンソーを取り出して構える。


「明らかにやばそうなものを出さないでください!?」


で?その後は何か言うつもりなのか?


「罰として君にはこのモンスターを倒してきてもらいます」


そう言って彼女が取り出したのは、『バスタードレイク』の討伐依頼だった。

ちなみに、『バスタードレイク』はレベル大体90レベルぐらいの人がようやく倒せるレベルのやつだ。


「(流石にこんなヤバいやつを倒せるわけが無いですよね)」


先生は実の所、このリツという少女を信じていなかった。

最終試験すら受けずに来たやつなんて信用出来ない。


そう思った彼女は嫌がらせのつもりでその依頼をわたしたのだが


「へーそれすぐ倒してくるから、ちょい待っといて〜」






◇◇◇



3時間後、先生の目の前には45と、それ以上のバスタードレイクの死骸が積み上げられていた。


「んで?まだなにかありますか?」


唖然としている彼女を眺めてリツは特に何か誇るわけでもなくそう、呟いた

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