第21話 化け物達

「次の方!てあ、貴方様はブルーム家の……?!」


「あら?今はただの試験を受けるものですわよ?……家柄などどうでも良くありませんか?」


そう言ってレフィアは的の前に立つ。


「あれって……レフィア様じゃない!?」「まじかよ本物だ!」「どうせ親の七光りに過ぎねぇって」


そんな声が聞こえてくるが、そいつらを無視してレフィアは手を前に出す。


「『試験開始』!」


フラッグが下りると同時に彼女は魔法を放つ


咲けフルーリル!……鉄の花は咲き乱れ─そうして花開くは焔の花弁なり!『焔咲くは満開の鉄華フラム・ド・フルール』!」


───空間がはぜた


一瞬で、目の前の空間に存在するものが粉微塵に吹き飛ぶ。それは流石に八岐大蛇の攻撃には及ばないが、それでも


「すっげぇ!!!」


リツですら驚くレベルの攻撃となった。


─「焔と鉄」そのふたつの特性を利用した彼女独自の魔法。

当たるもの全てを灰燼に帰す鉄火の華。それを展開しただけである。


会場からはどよめきが上がり、皆三者三様の反応を示していた


「き、記録……100点!……あ、有り得ない……素晴らしい……!」「嘘だろ!」「なんだ今の!ほぼ唱えてないぞ!?」「あんな高火力魔法をあんな簡単に!?」

(まぁ無理もないわな)


「はぁ?!あいつの攻撃が100点ってどうゆうことよ!……私の攻撃ですらそこまで行けなかったのに!」


レフィアにセピアが詰め寄るが


「あらあら鍛錬が足りてませんのでは?……まさか自分だけが強くなったとお思いで?」


その言葉に顔を真っ赤にしながら怒る。もちろん、全く相手にしないのは流石レフィアだ。


と、次はノエルの番だ。


「は、はぁい〜頑張りますぅ……!ノエル行きまーす!」


その様子を見た先程の興奮冷めやらない観客は

「おいおい次は気弱そうな嬢ちゃんかよ……」「さっきの興奮の後に何か見せられても別に……」「もうさっきの人が1番でしょ?」


そう言っていたが、ノエルは


「えーっとでは、行きま〜す!」


そう言って杖を構えると


極・魔力爆裂砲ハイパー・マナブラスト!」


─唱える。


杖から、光が溢れ出し……そのまま前方方面に向かって極太のレーザービームが照射される


圧倒的な質量のビームは瞬く間に彼女の前にある的を消し飛ばす。

後にあったのは唖然として居る見物人の姿だけだった


「……やりますわね!……さっすがわたくしが見込んだだけの事はありますわ!」


攻撃範囲自体はレフィアよりは少ないが、その圧倒的な貫通力はすごまじいの一言につきる


「……!!!!?うおおおおぉ!!!」「見たかよ今の!?」「光魔法?……それにしてもなんて魔力!……美しいわ!」「さっきのレフィア様と同じレベルがいるなんて……!」


「き、記録……100点!……またしても?!」


「うーん流石としか……では私も行くとしましょう……」


フォールがそう言ってゆっくりと的の前に立つ


剣を構えたことで、観客たちは


「おいおい剣かよ……いまさっきの魔法二連続がインパクト強すぎて流石に見劣りするでしょ……」「そもそも剣なんて今更見ることなんかあるの?」


そんな言葉に対して、フォールは


「まぁそれが普通の答えだろう……いいだろう……見せてやる」


そう言って剣を7


「我が剣の極意、とくと見よ……!……七星剣セブンスターブレイド!!」


7本の剣がそれぞれ光をまとい、空に飛び出す。そうして飛び出した剣が的目掛けて降り注ぐ。

まるで隕石のように、きらめくそれはすごい轟音と閃光をまとい、着弾する


砂埃が収まった時、そこには7つのクレーターが出来ていた。


「…………へ?」「……う……そだろう?……まじかよ……」「なぁ剣ってなんだよ……?」


しかし


「……まだ終わっていないが?……『─断空』!!!」


そのまま、着地すると同時に攻撃をぶち当てる。

そうして、的は上空に浮かび上がり……ものすごいエネルギーを受けて凹む。


「……はぁ?!……的が凹んだ!?嘘だろあれって確か」「そう!……あれはオリハルコンとアダマンタイトの複合金属だぞ?!壊せるわけが……」


「フォール様…………ひゃ、100点!!」


「次は君の番だ……どうやって点を稼ぐつもりだ?」


私は後ろから謎の男に話しかけられる。

私は特に振り向くでもなく、気楽に答える


と」


その言葉に、男は


「……出来るとでも?あれは壊せるような代物ではないぞ?」


そう言ったが……私は


「いやいや、やってみなきゃ……だよ?」


そう言いながら的の前に立つ。


私は武器であるチェーンソーを構えて、くるくると回して


「リツ、行くぜぇ?!」


そう言ってチェーンソーを


それと同時に私はチェーンソーをける。さらに空中で跳ね返ってきたそれを蹴る


「な、何をしてるんだ?なんか地味じゃね?」


「それな……せっかく今の今まで派手なヤツが続いたのに……」


「地味!見た目も!」


そんな声が聞こえてくるが、私は黙ってどんどんと殴り、蹴り、跳ね返し続ける

最初にその違和感に気がついたのはノエルだ。


(?おかしいです……どんどん目で追えなくなってきました……)


次に違和感に気がついたのはレフィア


(跳ね返る度にどんどん目で見えなくなっていきますわ?……わたくしそんなに疲れてませんわよ?)


そして、フォールもまた気がつく


(早すぎて目で追えないだけじゃない……まるであの攻撃が跳ね返る度威力と速度が跳ね上がってる?!)



─この試験は制限時間、20秒だが……その間にこの的を破壊するのはほぼ不可能と言える。

なぜなら、1回のダメージに対する上限が設けられており、それを超えたダメージは無効化される魔法がかかっている。

その事にリツは割と早いところで気がついていた。

そのうえであの的を壊したくなってしまった。


じゃあどうするか?そんなものは1回のダメージの上限ギリギリを何度も当てればいい。

しかし、チェーンソーの攻撃が1回の攻撃判定になるか怪しかったので


─ならチェーンソー自体を殴って加速させて跳ね返りを加速して……やればどんどん速度と火力を上げれるのでは?


ということで



「オラオラオラァ!!!!!」


もはや誰の目にも見えなくなったレベルのチェーンソーと攻撃により


パキィン!何かが割れる音がした……そして


「?!嘘だろ!……あ、ありえない!」


壊れるはずがない的が……”壊れた”


粉々に砕け散る。完膚なきまでに粉々になった的

そしてこのエネルギーをまとめてそれにぶち込む。


「……解放リベレイト!」



大地を割くほどの斬撃が飛ぶ。その余波で学校の結界ですらビビが入る。



「おおおっしゃぁー!!!サイコーだねぇ!」


会場が唖然としている中、私の声だけが響き渡る










  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る