第19話 鉄と焔とつよつよお嬢様
もう許しませんわ
そう言いながら、レフィアは武器を構える。しかし、その武器はただのでっかい鉄の剣だった
「ははは……先程は油断したが今回はそうはいかないぜ……!」
俺は回復薬を体にうち、体力を回復させつつ距離をとる。
問題ない……距離さえ取ってしまえばあんな剣など当たるわけが無い
所詮銃の前では剣など飾り……(まぁさっきそれを無視してきた奴がいたけど)
俺は銃を抜き、そいつらを凝視する。よく見ればかなりの美人がふたり、しかもあのヤバいやつの仲間ってことはこいつらを人質に取ればやつも手が出せないだろう
……ついでに、こいつらを俺の嫁に……して……おっと俺は何を考えているんだ
そんな俺の浅はかな思考を読んだのかは知らないが
「なんか気持ち悪いですわね……さっさとくたばってくださる?」
「うーん気持ち悪い顔ですね……生きてる価値ないですよ?」
散々な言われ用である。
まぁこいつらがいきがるのも今のうちだ!と銃を構えて
「なぁ?お前らは銃を知らないだろ?教えてやるよ……銃はなぁ……お前らごとき……」
俺が気持ちよく銃を撃とうと構えた瞬間
「知ってますの、ついでに貴方がどれだけ弱いかもよーくわかっていますわ」
そう言いながら金髪のお嬢様は剣を下ろし、俺ににこりと笑いながらつぶやく
「ねぇ?貴方、マスケット銃ってご存知?」
「……マスケット銃?それがどうし……た……」
「ええこれの事ですわよ?」
ピッタリと俺の顔面を狙う銃。それは紛れもなく目の前の金髪のお嬢様の手の中にあった。
わけも分からず、俺も慌てて銃を構えるが
「まーったくその程度の銃の知識でわたくしに勝とう……なんて……100年早いですわよ!」
俺は頭上に展開されていたマスケット銃を見る。実に100丁はあるであろうその銃は全て俺を狙っていた。
もちろん、それがハッタリであると俺は考えて
「ふん!俺を追い詰めた気になってるのは甘いぜ?!……くらえ、俺のダブルマグナムが火を吹くぜ!」
そんなことを言いながら飛び出した瞬間
「はぁ、残念ですの……死になさい」
目の前に構えていたマスケット銃を含む、頭上のすべての銃から弾丸が射出される。
彼は無意識に異世界人が銃を使うわけが無いと思っていた……それ故の勘違い。
まぁその対価は実に重たいものだった
”ババババババババババババババババババババ”ババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババ”
彼は蜂の巣になる。最後の瞬間、彼は自分が死ぬ事が有り得ない、という顔をしていたが
「甘いですわね」
彼女の手の中に新たに創造された銃……マスケット銃ではなく、1本のマグナムによって顔面を撃ち抜かれ命を終えた
彼女の魔法は
鉄と焔と核融合を使い、それに類する武装を創り出して装備する。そんな物騒なお嬢様である
類する武装は基本的に高火力かつ、兵器のたぐいであり
……それ故に、父である伯爵にすら
お前の戦い方では人が死にすぎる。と言われてしまって喧嘩をしていた訳だが
「はぁー!スッキリしましたわ」
ノエルがそれは良かったですぅ……と言いながら歩いてくる。
先程、追加で森から出てきた魔物たちをノエルが始末していたのだ。
◇◇◇◇◇
「さっきの爆発音は一体?!」
私とフォールが着いた時には、既に粉微塵になっていた男を眺め、私とノエル、レフィアは合流する。
「……?こちらの方は」
「ああ、さっき森で出会った人……多分いいひと」
ノエルは、そうですかーなら大丈夫ですぅ〜と言って再び歩き始める。
「いや、もっと警戒とか……しないのか?」
むしろ、その様子に驚いた様相のフォール。
「まぁ、そこのリツが一緒にいて問題ないんでしたらわたくしは大丈夫ですわ!むしろ貴女から出るオーラを見て確信致しましたの!……貴女……わたくし達と共に旅をしませんこと?」
旅、というワードに反応して、少し震えた気がするが気のせいだろう
「ありがたいのだが……私はこれからお金を集めるためにまた仕事を探さなくては……」
「何に使う予定なの?」
リツは興味本位で聞く。それに対してフォールは
「……勇者学院に通うためだ……」
その言葉にレフィアが目をキラリと輝かせてつぶやく
「あらあらでしたらわたくし達と同じですわね!」
「あなた達も…………待て?貴女のそのバッチ……確か……ブルーム伯爵の……」
「あら?名乗っていませんでしたわね……わたくしはブルーム・レフィア……ブルーム家の一員ですわ……騎士様」
その言葉に、慌てて跪くフォール。その様子を見て慌ててしゃがむレフィア
「……すぎ足りた御無礼をお許しください」
まじで騎士だな。と私は思ったが
「もう!わたくしは別に自分がブルームだからといって誰かに敬え!なんて言いませんわよ……」
「そんなことより貴女はどこの家の出身なんですの?」
フォールは黙ったままだ。その表情からは言うべきでは無いという葛藤を感じられたので
「まあまあ、色々あるんでしょう……それよりも今はさっさと勇者学院に行くのが先でしょ?……とりあえず、ロスが多いから……」
私はそう言って
チェーンソーを地面に当てる。
『フルチャージ』『フルチャージ』『フルチャージ』
ものすごい速度で周囲の魔力を貯める。
その様子に何かを察したのか、レフィアは
「いい考えですわね!行きましょうか!」
そう言って指をパチンと鳴らす。そこには、鉄の板があった。
みんなが無言でそこに乗ったあと、私はチェーンソーに貯めていたエネルギーを解き放つ。
「『
鉄の板は、一瞬で空を飛び……加速していく。
「制御は任せたぞ!ノエル!」
ノエルが、ひぃぃとか言いながら杖から出した魔力の噴射でバランスをとる。その様子を見て、レフィアは
「素晴らしいですわ!……ではわたくしも」
「『
さらに加速していく。
目の前から驚いた顔をした鳥類系の大型の魔物が現れるが
「進路の邪魔だ!『ライトニング・カッター』!!!」
雷の刃が空を飛び出し、そのモンスターを切り刻む。
「よーし!とりあえず目的地は見えてきた!行っくぜ!〜!!ゴリ押し開始ぃ!」
「ゴリ押しですわ〜!」
「ふ、吹き飛びますうう……!!」
「……これ着地どうするんだ?」
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