第18話 襲撃者は何を祈る?

私はチェーンソーをふかして再び構える

先程から、モンスターをたくさん呼び出している人はさっきからずっと青い顔のままだ


「ちぃ!喰らえ!ポイズニアス!」


(指示を口で伝えたらバレバレでは?)


私はそれを難なくライフで受ける。そのまま竜の首ごと召喚者を切り裂く。”ぶしゃっ”と言う音に合わせて、痛みに呻く声が聞こえた


「?!カミル!だ、大丈夫か!」


慌てて男の人が銃を乱射しながらその人のそばによって言った。


「おい!しっかりしろ!……まだ死ぬんじゃない!」


敵の前でよく隙を晒せるなぁ……と私は思ったが

(まぁこれで引いてくれてもいいけどね〜)


とか呑気に考えていたが


「……我が魂を持って命ずる……ベルグル……貴方は逃げなさい……私が時間を稼ぐ………から……」


「そ、そんなこと……できるわけが?!……カミル……お前、お前ってやつは……」


「ふふふ……かっこいいお方……私の最愛の人……貴方だけでも……逃げ……て」


◇◇◇◇


俺は腕の中で息絶えるカミルを直視して、俯く。───俺のせいだ、俺のせいでカミルは死んだ


この時、俺は初めて自分の罪を自覚してしまった。俺は100人の人を殺した。

それはもちろん家族が居るやつも、恋人とデートしてる奴もいた。

……奪うことの快感に俺は酔いしれていただけなのかもな……


俺は自分がしてきたことの罪に押しつぶされかけていた。

それでも、俺はカミルの願いを叶えなくては


俺は立ち上がり、カミルがくれたペンダントを”破壊する”。それに合わせて、辺り一面から大量の魔物が襲い来る。


それらはこのペンダントを手にしている人以外を襲い続ける魔法の効果だ


俺は自分の無力さを嘆きつつ、その場を離れた


◇◇◇◇


おいおい逃げるのかよ……と私は思ったが

(まぁ仕方ないか)


突然現れた数千を超える魔物の群れに私は押しのけられる。

「邪魔だなぁ……!」


私はチェーンソーを振り回して、バサバサとなぎ倒していくがそれでも流石に逃げているあいつを追いかけることはできそうになかった。

流石に無理か、と諦めてノエル達の元に帰ろうとした時


「……私が手を貸す。だから少し下がってくれ」


何処からかそんな声が聞こえてきた。その方向を見ると、そこには


銀髪の剣を持った女性が立っていた。

その人は、手に持った『片手剣』を引き抜き、それを構える。


「数で苦戦しているものを助けるのは騎士の使命!……くらえ『バーティカル・スラッシュ』!!」


真紅の斬撃が辺りの敵を粉微塵にする。続けて

「……『双刃乱舞』!」


二刀流になったその人は


「これで終わりだ!……ぜりゃあ!!!」


わずか数秒でそれらを片ずける。

まるで踊っているような、それでいて無駄のない剣。

私は別に剣を嗜んでいるわけじゃないから分からないけれど、それでもそんな私でも分かる。

これが剣を極めた人か……と。


「……大丈夫か?君の名前は……?」


私は

「どうも、助けてくれなくても何とかなったけどありがとう……私はリツ……宜しく」


と伝える。その言葉を聞いたあと、その女性は髪を整えて名乗る


「私はフォール……騎士道、武士道を嗜むものです……我が剣は貴女のお役にたてましたかな?」


そう、にっこりと微笑みながら敬礼をしてくれた。

多分いいひと、それだけはゴリ押し好きの私でも分かる


と、遠くの方で爆発音がしたので振り向く。


「?なんだ!行ってみるか?」


私は、まぁ貴女が暇ならばと伝える


◇◇◇◇◇



ブルーム・レフィアは炎と鉄の魔法使いである。

先程、何処かへと駆け抜けていってしまったリツを眺め、ノエルは方を落としながら謝る


「うちの仲間がすいません……あの人突然どこかに行っちゃうんですよ……」


「あらあら心配はしていませんわよ……なんせあんなにお強いお方は見たことがありませんもの」


そう言ってどこから取り出したのかは謎だが、ティーポットとティーカップを並べ……


「ですが何もない状態で待つのは流石に退屈ですわ……ですので……お茶会でもいたしましょう」


そう言いながら空間から魔法で鉄の椅子とテーブルを作り出し、そこにティーカップとティーポットを並べる。


近くに流れている川の水を鉄の銅鍋のようなものに入れて火を灯して


「それではお茶会と致しますわ!……ああでもお菓子を持ってくるのを忘れていましたわ…うっかりしてました……」


するとノエルが


「スコーンはありますよ〜?朝食べようと思って買ったものですけど……良ければ」


そう言ってスコーンを差し出す。その後、お茶を飲みながらリツを待っていた時のこと


森から駆け抜けて出てくる人影を目撃したふたりは


「おや?あのお方こちらに向かって来ますわね……なにか嫌な予感が致しますわ……一応武器を構えておきましょうか」


男は近くにいた人に助けを求めようと駆け寄る。


「助けてくれ!仲間が殺人鬼に襲われてしまったんだ!!」


男は少し慌てすぎていた。

それ故に気が付かなかった


「どんな風貌の奴ですか?……」


「ち、チェーンソーを片手に持っていました……!」


2人は顔を見合わせると。


「なるほど、それは大変ですわ……まぁこれでも食べて落ち着きなさいな」


そう言って何かを差し出す。


男は


「あ、ありがとう…………ん?これって……」


男は手渡しされたそれをまじまじと見る。何処かで見たような形、どこだっけな……


ああそうだ。確か…………は?


その物体は爆ぜる。

至近距離にいた男は大ダメージをくらい、そのまま動けなくなる


「な…………なに……何が……?!」


「手榴弾、ですわ……良くもまあ先程は私たちを狙ってくれましたわね……あなたの方がよっぽど殺人鬼ではなくて?」


男は最悪なほど運がなかった。

それ故に、ブチ切れた2人と出会ってしまった


















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