第11話 決着スサノオ戦
スサノオとの戦い中に切れる元村長は
「貴様ふざけや……」
「お前こそ黙れ、我はこいつと死闘を繰り広げているのの邪魔をされるのが嫌でな……」
「ええい!誰だか知らんがワシに逆らうとは!?……わしは……」
リツはにっこりと笑って言った。
「元村長だろ?だってお前の村なんてこの世にはもう無いぜ?」
その事実を認めるのが嫌なのかは知らないが首を横に振りまくるその姿は
まるで玩具みたいで滑稽であった
(まぁ気持ちは分かるけど)
するとスサノオの威圧に耐えきれなくなったのか、それとも
この場の雰囲気に耐えきれなくなったのかは知らないがどこかに逃げ去っていった
「覚えてろよちくしょうめ!」
綺麗に捨て台詞を吐きながら
「───さて、改めて戦いと行こうじゃないか!」
そう言って嬉しそうにチェーンソーを構える律に対しスサノオは
(まずい、この神殼がそろそろ限界に近い……ええいそれならば……)
「リツとか言ったな……貴様神の本気の一撃を受け切る度胸はあるか?」
そう、尋ねた。これはスサノオの賭けでもあった。
(残り数発くらってしまえば俺は死ぬ……だが逆にこの一撃で奴を仕留めればまだ何とかなる……だろう)
それに対しリツは
「へぇ?そりゃ見てみたいけどね……いいよ!ゴリ押しで耐えきってやるからさっさと撃ってこいよ〜!」
そう言うとゆっくりとチェーンソーを構えて動きを止める。
スサノオは
(これはチャンスとして利用せねば……それに娘にかっこいいところを見せなければ「パパ弱〜」何て言われてしまうかもしれない)
「────ならば見せてやろう。我が奥義を……」
スサノオの周囲に沢山の魔力が集まる。そうして集まった魔力を使い
「『神域よ……いでよ!……
と叫ぶ
途端に周囲が浮き上がり、天と地の境目にて彼の力による戦いの場が生み出される
「ぉぉお?!」
リツも流石に驚くがそれを無視してスサノオは何かを唱え始める
リツは
(何をするんだろう?まぁゴリ押しで耐えれば行けるでしょ……楽勝楽勝!)
と心の中で考えていたが
「我は因果を逆巻く
───それは手にしたものの返還
───即ち事象の逆転
───逆行する時の摂理に我が剣は最期の名を示すだろう
───現出せよ
─────────剣の名は」
「『天叢雲』──────即ち、
空間が歪み、彼の手の中に一振の青銅の剣が現出する
──────それは本来、彼が倒したはずの八岐大蛇から抜き取った一振の剣
──────それは彼が天照大神に差し出したはずの存在しない武器
──────古来より知恵を司る伝説の神器
それが今、この瞬間に彼の手の中にあった
「───構えろよ?リツとやら……悪いが……手加減はできそうにない……からな?」
普通ならこんなヤバそうな剣を手にしている相手とは戦うべきでは無い
しかし
「へぇ?……そりゃお気ずかい助かるねぇ……でもね、こんな状況だからこそ私は私なりの戦い方をするんだよ?」
(というかそれしかできない)
そういってにっこりと笑う。
……「────そうか、いい笑顔だ……ならばこの一振にて貴様を未来永劫討ち滅ぼすとしよう……」
空気がゆがみ始める。
本来は現世に留まることが無いはずの本当の神器が今
ここは出雲だと言う事象の上書きによりその本当の力を発揮しようとしている
「──────ゆくぞ!」
ゆっくりと振り上げた天叢雲剣は周囲の魔力を絶え間なく吸い取り、その力を限界まで高める
その有様がまるで霊峰に霧が……いや雲がかかったような見た目に変化する
刀身からは絶え間なく光が放出され、その力を解き放つのを今か今かと待っている
刀を振り上げながらスサノオは自分の詰めの甘さを呪った
(不味いな……本当にこの一撃しか撃てそうにない
……まさかここまで削られていたとは……
人間にここまで追い詰められるとはかつての神の頃には思わなかったからな)
それでも、彼は神としての力をリツに示す。
「────この一刀に全てを賭ける……!喰らえ──────」
「『
貯めた、極限までため切ったエネルギーがリツに降り注ぐ。
光は一瞬でリツを焼き殺し、その再生能力すら上回るレベルの魔力を解き放つ
「──────喰らえ!!!ぉぉおおおおおお!!!!!」
光がリツに迫る寸前、リツは
「───あんたの覚悟、しかと見届けたぜ……ならこっちも本気で行くぜ……」
そう言うと、チェーンソーを両手で握る。すると、チェーンソーをとてつもなくどす黒い魔力が覆う
「───こいつは少し扱いにくくてな……まぁこの一撃になら使ってもいいか……」
そう言うと彼女はゆっくりとそのスキルを唱える
「……『
──────『
──────どす黒い力を解き放つ
その光と天叢雲剣の光がぶつかりあった瞬間
──────世界に一瞬の静寂が生まれる
それは因果をねじ曲げて現れた神の一太刀と
その因果自体を消去できる者の一振がぶつかった時に起きる
ただの『対消滅』反応。
しかし、その隙を見逃すほどリツは甘くは無い
当然、天叢雲剣には反動が存在する。
それ故に回避などできっこなかった
「──────あんたの敗因は……少し自分の力を過信しすぎたことだぜ?」
そう言ってリツが殴ろうと、トドメを刺そうとした瞬間
「──────まだだ!我はまだ終わってなどおらぬわ!!」
スサノオが振り下ろした剣を同じ剣筋で返す
即ち、
「『二ノ太刀……
その一撃はリツをそのからだごと吹き飛ば……
「…………まさかこれを耐える……とはな……」
彼女は避けてなどいなかった。少しドヤ顔で、少しフラフラしてはいたけれど
それでも。立っていた……避けることすらせずにただゴリ押しでその一撃に耐え抜く。
確かに二の太刀である草薙は威力や神威性は少ない。
それでもただの人間では耐えれぬ程の痛みと絶望を味合わせるほどの力はあるのだが
「──────ってことであたしの勝ちか?……それはそうとあんた体が……」
その太刀を防がれたことでスサノオも流石に認めざるおえなかった。
この人間は自分よりも強い……と。
崩れゆくスサノオに合わせて、出雲も壊れ始める。
そうしてゆっくりと落下しながらスサノオは最期のお願いをリツにする
──────「頼んだぞ」
リツはただ、任せな。とだけつぶやく
それを聞いて安心したようにスサノオはそのからだをひかる塵に変えながら消えていった
……後にはただ美しい夜明けがリツを照らしていた
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