アンドロメダ・アタック

YDR1

War of the galaxy

第1話 遭遇

登場人物紹介


中原 速人

29歳 日本人 会社員

恋人なし、友達は少数。特に目立つところのないうだつの上がらない平凡な男



地球より約250万光年かなたアンドロメダ銀河 とある惑星



 既に我々以外の目ぼしい反抗勢力は壊滅、存在していてもそれは残党のようなものであった。


 帝国...


 突如として銀河に姿を現したその国家はアンドロメダ銀河全域に戦火を拡大させたのである...


 銀河に存在するその他の文明は反帝国諸国同盟を結成、この惑星もその諸国を形成する主要国の一国であった。


 しかし既に諸国同盟は壊滅、我々以外彼等への組織的抵抗を行っている勢力は存在しなくなってしまった。


 そしてついに帝国がアンドロメダ銀河全域を掌握する瞬間が訪れようとしていた。


 迫りくる数十万の帝国の艦隊



私は希望を託された、自らの体を捨て去り、いつの日か必ずここに戻ってくることを誓って...




 西暦20xx年 日本、某所


 見上げた夜空には無数の星々が煌めいていた。俺は軽自動車に積んである天体望遠鏡を担ぎ出しその位置を調節し始めた...


元々天体観測が趣味であった訳ではない。自分の性格は良く熟知している...だから今回のこの天体観測も今までの趣味と同様何となく興味を持ったからとりあえずやってみたというところか...


 それにしても男一人、天体観測など虚しくなることこの上ない...一緒に趣味に付き合ってくれる彼女?...そんな人はいない。友人は...まあ、いるにはいるが皆どちらかと言えばインドア派である...天体観測など興味も示さなかった。


 最も俺もどちらかと言えばインドア派であるのだが...


 さてと、こんな寒空に馬鹿が一人。車で来ていなければ酒でも飲みながら観測をしたいところだ。


 俺は天体望遠鏡の調節を終え、持ってきた水筒でコーヒーを飲みながら一息入れる。


 ああ、そうだったな。そういえば子供の頃宇宙飛行士になりたいと思ったことがあったっけか。


 あの時はまだ小学生で自分が物語の主人公のような特別な存在だと思っていた。だから自分は世界にとって特別で意味のある人間なんだと根拠もなくそう思い込んでいた。



 今にして思えば随分と思いあがった傲慢であろう、まあ小学生なんて皆そんなものかもしれないが...そして時が経つにつれ自分が特別な存在などではないという事を思い知らされたのだ。



 あぁ、嫌だ嫌だ。昔を思い出すのはごめんだね。まだ人生に希望が満ち溢れキラキラと輝いていた時の記憶だ...眩しすぎて眩暈がする。




 大人になった今の方が楽しいとか抜かす人もいる。それは自分の人生が充実している人間の台詞だ。俺のような30目前のそろそろおっさんになるような(もうおっさんかもしれない?...俺の持論だとおっさんは30以上の人間だ。異論は認めん)半分人生諦めてる人間には今の方が楽しいなんて考えられない。



 ...まあ財力は昔よりはあるか。独り身の俺はまあ趣味に使う金だけは少しばかりある。あくまで子供時代との比較で今のクソみたいな会社の給料ではたかが知れているし何より自分の自由な時間が少ない。




 働かないで暮らせないものか...




 その時夜空を光る物体が列をなして駆け抜けていくのが確認できた。知らない人が見ればそれはUFOのように見えるだろうがしかし正体はそうではない。



 あれはアメリカのなんとかっていう大金持ちが設立した会社が打ち上げた衛星群...あれのせいで天体観測を趣味とする者たちが被害を被っているとかなんとか言っていたが初心者の俺からすれば物珍しく思え不快には感じなかった。



 まるで宇宙船かあるいは古典SFに出てくる銀河を走る鉄道のようであった...



 俺はコーヒーを伸びながらその衛星群が夜空を駆けていくのを眺めていた。すると今度は何か別の光が輝き始めたのが確認できた。



 「ん?なんだあれは...」



 思わず俺はそう口にした。明らかにあの光は先ほどの衛星群とは異なる動きと光であったのだ。



 UFO...まさか



 いやUFOという単語は別に宇宙人が乗る宇宙船と言う意味ではない...



本来の意味でのUFOと考えるなら間違いではないか。


 まああの動き、現実的に考えるなら隕石、流星あるいは火球と呼ばれるものであろう。よくテレビやネットニュースで話題になることがあるから俺にも見覚えがあったのだ。


 ...いやなんだあれは?もしかしてこっちに近づいてきてないか?



 俺が唖然としてその光を見つめているとその輝きはどんどん強くなり...



 覚えているのはそこまで...俺は意識を失ったのであった。


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