武器商人は忙しい！〜日本壊滅かぁぁあ！？弱小ゴブリンに自衛隊はお手上げですっ！🪖

第15話 冒険者ギルド

　オレはお姉さんに連れられて、冒険者ギルドへ向かい歩いていた。

「きみ名前は？」

「オレは大和創真です」

「え〜と、ファミリーネームは創真でいいの？」

「いえ、大和がファミリーネームで、創真が名前です」

「それじゃソーマ、私はキャロライン・マクレガー。キャロルでいいわ。よろしくね」

「はい、よろしくお願いします」

　キャロルさんかぁ〜。気が強そうだけど良い人だな。歳は２０代後半位かな。姐御って感じがする。

「それで創真は冒険者ギルドへ何しにいくんだい？」

「はい、冒険者になろうと思いまして……」

「へぇー、わざわざ異国からこんな辺境の街へ冒険者になりにきたのかい？　変わった子だね〜」

「ハハハ……」

「私は冒険者をやってるんだ。今からギルドでパーティの打合せがあるんだけど、その前に冒険者ギルドの案内をしてあげるよ」

「ええ〜いいんですか〜？　ありがとうございます！」

　オレ達は冒険者ギルドに到着した。２階建の結構大きな建物だ。

　入口が２つあり、左がギルド、右が酒場兼レストランになっており中で繋がっている様だ。

　ギルドに入ると大きな壁掛時計があり、その下に５つの窓口があった。その内の左３つが受付、右２つが換金という事だ。

「創真、冒険者登録は受付窓口だよ。頑張ってね！」

　キャロルはオレへの簡単な案内を終えると、右側の酒場へ歩いて行った。

　オレはキャロルに礼を言って、受付窓口に行く。

「あの〜冒険者登録をしたいんですが〜」

「いらっしゃい。ギルドは初めてですか？」

　若いメガネっ子の受付嬢が出てきた。

「はい、この街にも初めて来ました」

「そうですか〜、最初から説明が必要ですね。それでは左端の窓口へ移動しましょう」

　左端の窓口だけ椅子が用意されており、たぶん長い話の時に使う窓口の様だ。

　受付嬢とオレはカウンターを挟んで椅子に座った。

「まずはぁ〜、あなたのお名前を教えて下さい」

「はい、大和創真と言います」

「ヤマト・ソウマっと、変わった名前ですね。目も黒いですし、異国の方ですか？」

「はい、日本って所から来ました」

「聞いた事ありませんねぇ〜」

「なんか問題ありますか？」

「いえいえ、ただのの興味本位です」

　興味本位か〜い！　

　受付嬢は澄ました顔で続ける。

「それでは、大和様のステータスを計りますので、この水晶に手を当てて下さい」

　オレは水晶にそっと手を置いた。すると、水晶が反応し、やがて文字が浮かび上がってくる。

　受付嬢は水晶の文字を見ながら、書類に書き込みを始めた。

「レベルは２っと、ジョブはなしっと。スキルは英雄遺伝子と異世界転移って何これ〜！　聞いた事ないスキルなんだけどぉ〜、まぁ後にしましょ。取り敢えず終わりで〜す。今からギルドカードを作ります。時間がかかるので、その間にギルドの説明をしますね〜」

「よろしくお願いします」

「大和様、まずは冒険者ランクについてお話ししますね。ランクはFから始まり最高がSです。ランクは分かりやすく色分けされてまして、Sはプラチナ、ABはゴールド、CDはシルバー、EFはブロンズの色になります。またギルドカードも同じ色になり、色が変わるタイミングで更新できます。

　そしてランクはレベルによって上がっていきます。1〜9がF、Eが10〜、Dが20〜、Cが30〜、Bが40〜、Aが50〜、SはAランクの中から特別な条件を満たした者だけが選ばれます。ここまでで分からない事はありますか？」

「いいえ」

「では、クエストの説明をしますね。その前に大和様は魔物を倒した事はありますか？」

「はい」

「その時に魔石がドロップしたと思いますが、その魔石を隣の換金窓口で換金するのが冒険者の基本的な仕事で収入源になります。

　また、冒険者達が魔物を見付けやすくするために、町や村の人達から魔物の目撃情報が毎日ギルドに送られてきます。それがあそこの掲示板に貼ってある目撃情報コーナーです。ここまで大丈夫ですか？」

「……はい」

　もう頭が回らない。キャロルさんが頑張れと言った意味がようやく分かってきた。

「次はクエストです。目撃情報を出しても一向に冒険者が来てくれない時に、困っている人達がクエストを発注します。それがあそこの掲示板に貼ってあるクエストコーナーです。

　クエストを受注する時はクエストコーナーからクエスト依頼書を取って受付に出して下さい。但し依頼書には冒険者ランクが書いてありランク未満だと受注出来ません。しかし例外としてパーティの場合はメンバーに１人でもランクに達している者がいれば受注出来ます。そして、クエストの報酬は魔石とは別に支払われます。以上ですが、理解出来ましたかぁ？」

「はいィィ〜！！」

　オレは元気よく返事をした。途中から脳ミソがおかゆになっていて何を言ってるのか全く分からなかった。説明が終わった事が嬉しくて、つい大きな声が出ただけだった。

「ちょうどギルドカードが出来ましたので、お渡ししますね」

　オレはブロンズのカードを受け取りお礼を言った。

「では頑張って下さいね〜。お疲れ様でした！」

　オレはふらつきながら掲示板の前にあるフリーテーブルに座わると、ぐったりとうつ伏せになり眠りそうになっていた。

「創真よ、起きるのじゃ！　もう３時を過ぎとるぞえ」

　タケじいの声で目が覚めた。

「タケじい、おはよ」

「しょうがないヤツじゃのう。日没まであと３時間じゃが、今日はこれで帰る事にするか？」

　オレは帰りたい気分だったが、何の稼ぎも無いまま帰るのはしゃくなので首を横に振った。

「稼ぎが無いのに帰るのはイヤだっ！」

　これが、後に大和商店の社訓『稼ぐまで帰ってくるな』となったのは、また別の話である。