　あるひ　おひめさまは　ものがこげるいやなにおいで　めがさめました

　とうとう　となりのくにが　このおしろまで　せめこんできたのです

　てきにせめこまれてしまったということは　このおしろをまもっている　まほうつかいに

　なにか　あったということです

　おひめさまは　いてもたってもいられませんでした

　まほうつかいが　おいていったつえを　たよりにして　あしをひきずり

　たよりないあしどりで　おしろのもんから　そとへでました

　はじめて　かんじた　そとのせかいは　とても　おそろしいところでした

　わかるのは　ほのおのあつさと　ちのにおいばかりでした

　まわりに　ひとのけはいは　まったくありません

　おもわず　ひめいをあげ　あしがすくんでしまった　おひめさまでしたが

　てににぎった　つえのことを　おもいだし

　こわいとおもうよりも　まほうつかいのことが　しんぱいになりました

　おひめさまは　まえへと　あるきだしましたが

　とちゅうで　なんども　つまづいて　ころびました

　なんどめかに　つまづいたものは

　かつて　おうさまのかぶっていた　きんいろのかんむりでしたが

　おひめさまは　それにきがつきませんでした

　どれぐらい　あるいたでしょうか

　おひめさまは　もう　つかれはてていました

　それでも　まほうつかいへの　おもいだけで　あるきつづけました

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい