第132話 ダンジョン攻略②

 特級ダンジョンの初戦は難なく勝利して、さらに奥へと進んで行く。10層からなるダンジョンの1層目なので、出現する魔物は兎人カニヒェンばかりだった。速さと変則的な動きに目が追いつかず、広範囲に理法を放つしか当てることができないと思ったけど、ある程度の戦闘を繰り返してると、速さへには慣れ変則的な動きには法則があることに気づいたので、狙いを定めて理魄を撃っても良いかお母さんに聞いてみた。


「ねぇ、兎人カニヒェンの動きを捉えられそうだから、次は狙いを定めて理魄を撃ってもいい?」

「おぉ、あの動きに適応できるの?OK、師匠は外した時のフォローをよろしく!」

「判ったよ。あれを捉えるとか信じ難いけど、やってみる価値はあるね」


 2人とも半信半疑な様子だけど、私には自信があった。その理由は、『ピョンピョン』と跳ねるように移動するけど、両足で跳ねる時と片足で跳ねる時があって、両足で跳ねる時は前方への高速移動のみで、片足で跳ねる時は通常速度の移動になる。さらにサイドステップを踏む時は、進行方向と逆の足で着地して、残りの足を横に振って反動をつけているからだった。そして、チャンスは直ぐに訪れた。


「ん、兎人カニヒェンが2体来るよ!」

「OK、師匠フォローお願いします」

「任せな」


 お母さんの言った通り、兎人カニヒェンが2体が前後に並んで近づいて来た。私は理魄を撃つ構えをとって足元を注視すと、前の兎人カニヒェンは左足で着地して右足を横に振ったので右に、後の兎人カニヒェンは両足で着地したので前に突っ込んでくるので、後の兎人カニヒェンに狙いを定めて理魄を放つ。


鉄の槍アイアンスピア!」


 私が理法を放つと、前の兎人カニヒェンは右にサイドステップを踏んで移動すると、後方から猛スピードで突っ込んで来たけど、予想した通りだったので鉄の槍が胸部を貫いた。


『バシュ!』

「ギャフ……」


 直撃を確認してから、右に移動した兎人カニヒェンに目を向けると両足で着地していた。理魄を撃つよりも、扇の方が早いと判断して即座に投げる。


「やっ!」

『ズバンッ!』


 両足て踏み込んで突っ込んでくる兎人カニヒェンの頭部に扇が向かっていくと、跳ねてるので回避行動をとれる訳もなく、切断された頭部が宙を舞いながら地面に落ちたのだった。


「ふぅ~、上手くいったね!」

「す、凄いよ!あの変則的な動きを、完璧に捉えるなんて本当に凄いよ!」


 お母さんが私に近寄ってきて、頭を『ワシャワシャ』と撫でながら褒めてくれたので、兎人カニヒェンの動作の法則について説明をしたら、2人は目を丸くしながら驚いたのだった。

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