第121話 長期休暇は学院外で
中等科の前期は順調に経過して、私は学力試験と武術序列戦の両方で1位となって、合計160Pを獲得した。親しい友人達もみんな一桁順位だったので、このままいけば高等科でも同じクラスになれそうだ。
前期日程が終って長期休暇に入ると、師匠の別荘で過ごすことになってるの。他のクラスメイトのように夜会やお茶会に参加する訳ではなく、別荘なら人目を気にせずに、思いきり修行を行うことができるから。今回は限界の力を出す修行をするのが目的らしい。
同行するのはお母さんとアリシャで、何故かコリーヌ先生が付いて来ようとしたけど、師匠の許可が出る訳もなく落ち込んでいた。
そして、前期の最終日の授業が終わると、クラスメイト達とは休みの過ごし方で大いに盛り上がった。まぁ、話題の中心はセイラとグレンの恋バナだったけどね。
異性に対するトラウマを抱える私には縁のない話だけど、友人の幸せそうな顔を見ると『ホッコリ』する。今回の長期休暇からみんなが戻ると、セイラのような良縁の話を聞けるかも知れないので、再開する日が楽しみだね。
「それにしても、マールが妃爵様の別荘で過ごすとか凄いよね。ひょっとしたら王族とお近づきになれるんじゃ?」
「妃爵様のお孫様の第一王子様は同学年じゃなかったかしら?」
グリアが私の休暇先のことを話題にすると、キムが第一王子が私達と同学年だと言うと、そこから話が盛り上がり始める。
「マールは可愛くて優秀だからさ、好意を抱かれるかも知れないよね?」
「あるある!顔も良くて頭も良いけど、なんといっても一番はこの凶悪なモノだよ!」
セイラの言葉の後に、ハーレイが『凶悪なモノ』と言った後は、背後から私の胸を鷲掴みにしてきた。
「きゃっ、ちょっ、ハーレイ!」
「はぁ~、凄いわ、こんなモノに触れたら男なんてイチコロだわ〜」
「いや、だからって、まずその手を離そうね?」
「うぅ~、もっと堪能したかった……残念」
ハーレイがなんとか手を離してくれたので、途切れた話が再開する。私としては王子になんて会うつもりはないし、師匠も私のことを知ってるので、そのような機会は設けないはずだもんね。
「まぁ、王子様なら既に決まった方が居るでしょ?それに子爵家では釣り合わないよ」
「フォスター侯爵家のカタリナ様が婚約者だったわね。2人とも王立学園生よね」
「そんな方が居るなら可能性はないじゃない」
身分が釣り合わないと言うと、グリアが婚約者がいることを言ったので、好意を抱かれることはないと断言すると、アンナマリアは真っ向から否定してきた。
「チッチッチ、甘いわね。カタリナ様とは国内基盤を固める為の政略結婚!そこに真実の愛はないかも知れないよ。真実の愛を求めて側室を迎えるかも知れないもんね?」
最後は『ニヤリ』と笑いながら私の方を見た。
(あの……、へんなフラグを立てないで欲しい)
そんな話をしながら最終日を終えた翌日は、友人達は実家へと戻っていき、私は師匠の別荘へと向かったのだった。
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