第118話 勝手に師弟発言

 中等科初日、コリーヌ先生との模擬戦で終えると、私がクラス委員になることを認めた。というか話が飛躍して、私がクラス委員長に任命されて、副委員長にはアリグリアが、委員にはセイラとハーレイが就くことになった。

 私としては上位貴族の令嬢であるキンバリーが、委員に選ばれるべきだと思ったけど、コリーヌ先生がその場で全員に決を採ったら、賛成多数だったので反論の余地はなかったの。


 クラス委員が決まったところで、ホームルームが終了して初日を無事に終えた?


 そして翌日からは、授業が本格的に始まる。


 最初の授業は中等科から新たに加わる【戦術論】で、戦闘を行う時の基本戦術から習い始めることになった。ちなみに、私はお母さんとの模擬戦を通して、様々なシチュエーションでの戦術論を叩き込まれてるので、この授業はすでに習得済みなの。


「戦術論はとても奥深いものだけど、戦術を教える前に武具や理魄の特性を理解する必要があるんだけど、その理由はなぜかしら?」


 コリーヌ先生の質問にクラスメイトは呆気に取られる。今更なにを言ってるのと思ったんだろうけど、そこの理解こそが戦術論の根底なの。


「自分の特性をさらに突き詰めることで、戦闘の幅を広げるためですか?」


 1人の生徒が質問に答えると、コリーヌ先生はただ首を横に振るだけで答えない。みんなも同じ考えなのか誰も口を開かなかったので、仕方ないので答えることにした。


「全ての武具や理魄の特性を知ることで、どのように対処するのか戦術を練るからだと思います」

「その通り!相手を知ることが戦闘における勝利の近道になります。私とアイマールの模擬戦は良い例で、距離を取りたい私と懐に入りたいアイマールとの駆け引きがあったのよ」

「「おぉ~!」」


 私が質問に答えると、コリーヌ先生が補足を伝えると歓声があがった。セイラが目を『キラキラ』と輝かせていたことに、少し驚いてしまった。武術を学んでいるのなら戦術も習っていると思ったから、放課後にでもその辺りを聞いてみようと思った。


 その後の授業は、武具の特性を知る為に費やされたけど、基本を徹底的に叩き込む授業を素晴らしいと感じた。


(コリーヌ先生が実績を残して、爵位を取られた理由がよく判った気がするよ)


 そして授業の最後に、コリーヌ先生が予想外の発言をしたことに驚いてしまう。


「では、午前の授業はここまで、今の授業で判らないことがあれば、私に聞いても良いし、戦術論の弟子と認めるアイマールに聞いてくれても良いからね。では、解散!」

「「ありがとうございました」」


 コリーヌ先生が戦術論において、私が弟子であると勝手に宣言したのだった……


(ここまで思い込みの激しい人だなんて……)

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