第116話 マールvsコリーヌ
中等科が始まって早々に模擬戦をすることになった。しかもコリーヌ先生と……
(なんで、こうなるのよ……)
私達は模擬戦が行われる闘技場へ到着したので、取り敢えずロッカールームで着替えることにする。私が戦闘着に着替えているとグリアが話しかけてきた。
「せっかく先生と模擬戦をするんだから、全力で戦って勝にいくのよ?」
「先生相手なんだよ?勝てないよ」
「マールが全力を尽くせば勝てるかもよ?」
「ムリムリ」
ハーレイがそんなこと言いながら近寄ってきた。私は無理だと答えながらシャツを脱ぐと、みんなの視線が一点に集中した。
「マ、マール?その胸は……」
キムが私の胸を指さして声をかける。
「ん?ちょっと大きくなったかな?」
「それをちょっとって……羨ましすぎるわ!」
グリアが両手で胸を押さえながら大きな声を出した。みんなも同じように胸に手を当てていた。私達が騒がしいものだから、コリーヌ先生が声をかけてきた。
「なにを大きな声をあげてるよっ?!」
声をかけた後は、コリーヌ先生まで黙ってしまった。注意を受けたので謝罪をした。
「すみません、直ぐに準備します」
「……負けた」
「いや、まだ模擬戦をしてませんよ?」
「はっ、貴女はなにも聞いてなかった。そ・う・よ・ね?」
「は、はひ……」
意味は判らなかったけど、コリーヌ先生の圧力に押されて『はい』としか言えなかった……
その後は着替えを済ませてからは、先に訓練場で待っているコリーヌ先生のもとへ急いだ。
「お待たせしました」
「審判はセイラに任せるわよ」
「判りました。では、2人は中央に並んで!」
先生は槍と盾を、私は扇を構えて中央に並んだ。セイラは私達が並んだことを確認すると、模擬戦開始の合図をした。
「模擬戦始め!」
開始と同時にリーチの有利さを活かして、コリーヌ先生が小刻みに突きを入れてくる。近づけなければ扇の攻撃は届かないので、実に基本に忠実な戦術だと思うけど、それはあくまで武具のみの場合で理魄を使えば距離は関係ない。
私は風の理魄の
『ヒュン、ヒュン』
『ガッ、ガツン!』
受け止めたことで槍による突きが一旦止まると、私は一気に加速して間合いを詰めると、カウンター気味に突き放ってきたけど、身体を回転させながら突きを受け流して、勢いをそのまま扇を広げたままで打撃を入れる。
『ガッ、ガガガガガ、ガンッ』
「くっ」
扇が当たると同時に閉じていくが、閉じるたびに打撃が加わり連撃のような衝撃を与えると、少し苦しそうな顔をした。チャンスと思った次の一撃には風の理魄で加速させて威力をあげる。
『ガッ、ガガガガ、ガゴンッ!』
「えっ……」
さらに威力が上がった打撃により、盾を弾くことに成功したあとも、回転を止めずにもう一回転したところで、先生目の前で武具を寸止めする。
「しょ、勝者アイマール!」
「ありがとうございました」
「そんな……私が負けたの?」
コリーヌ先生は信じられない顔をして、その場に崩れ落ちたのだった……
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