第114話 コリーヌ.ファレル
◇◇◇コリーヌ視点
私はコリーヌ.ファレル子爵。
王立学園の戦闘技術科の教師を務めて、優秀な生徒を多数排出した功績により子爵位を授かった。言ってみればエリート教師なの。
そんな私が王立学園から女学院へ転属して、教鞭をとることにした理由は、稀代の天才が現れたと聞いたからよ。私の知る限りではミーナリア.レジストリー以外に天才なんて思いつかない。
あれは私が王立学園、ミーナリアが女学院に在学中に交流戦があった時、私を含めた王立学園がミーナリア1人に敗北した……。その才能を認められて、あの妃爵様の弟子に迎えられたというのだから、稀代の天才で間違いないと思った。
そのミーナリアに匹敵するほどの天才が現れ、妃爵様が直々に転籍命令を出して、ミーナリアの養女にしたなんて聞けば、教師として指導してみたいと思うのは当然よね。
どんな娘なのか楽しみにしていると、中等科の校舎を見て回ってる時に、偶然に稀代の天才少女と遭遇したの。
緑色の瞳と髪色に控えめな性格は、明朗快活なミーナリアとは全く違っていたので、申し訳ないが期待外れだと思った。
(はぁ……、転属したのにがっかりね。1年だけ我慢して王立学園へ戻ろう)
◇◇◇ミーナリア視点
王立学園からコリーヌが転属してきた。
私と同じ爵位を授かった教師らしいので、かなり優秀なんだと思うんだけど、なんで女学院へ転属してきたんだろう?なんて思ってると、噂のコリーヌが私に話しかけてきた。
「ミーナリア先生、ごきげんよう。私も貴女と同じ子爵位を授かったのよ?」
(誰だコイツ?妙に馴れ馴れしいぞ?全く面識がないけど、ここは無難に合わせておくか……)
「そうなんだね。これからは同僚としてよろしく頼むわね」
私は無難な言葉で合わせて、取り敢えず手を出して握手をする。
「えぇ、よろしくね。交流戦では負けたけど、教師としては負けないわよ」
(えっ、交流戦?いつの交流戦?ダメだ全く思い出せない……)
「あ、うん、お互いに頑張ろうね」
交流戦と言ってきたので、女学院時代なんだろうけど思い出せないから、きっと雑魚の中の1人だったのね。面倒だから適当にやり過ごそうと思ったら、このバカは私の地雷を踏んだ。
「あっ、貴女と同じ稀代の天才って噂のアイマールは、『パッ』としない娘なのね。あの程度なら王立学園に『ゴロゴロ』居るわよ?」
『ブチッ!』
「マールが何だって?私の記憶にない雑魚の分際で、私の可愛いマールが『パッ』としない?見る目のない三流教師風情が安々と口にしやがって、ぶっ飛ばしてやろうか?」
「えっ?ちょっ、待って!」
私がキレたことに驚いたのか、両手を使って落ち着かせようとしてると、師匠が慌てて間に入ってきた。
「ミーナリア、何をしてるだい?」
「コイツが私のマールが『パッ』としない、王立学園に『ゴロゴロ』居るとか言ったんですよ」
『ブチッ!』
「面白いことを言うじゃないか、私の弟子と同等の者が王立学園に『ゴロゴロ』居るのかい?」
「えっ?妃爵様のお弟子?えっ……」
私だけではなく師匠の地雷も踏んだようだ。私がぶっ飛ばしてやろうと思ったけど、後のことは師匠に任せることにした。
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