第113話 新任教師
長期休暇もあと2日となり、地元へ帰っていた貴族令嬢達が女学院へ戻ってきた。
私が部屋で自習をしてると、ドアをノックする音が聞こえたので、アリシャが応対してくれた。
「お嬢様、アリグリア様達が来られましたよ」
「ありがとう、部屋へ入ってもらって」
アリシャに指示をしてから、私は本を片付けてからリビングへと向かう。
「マール、久しぶりね!元気にしてた?」
「うん、グリア達も元気そうね。夜会とかの話を聞かせてよ?良い人は見つかったりした?」
「「なかったわ」」
「……あった」
全員がなかったと言ったと思ったら、セイラが手を上げ小さな声で『あった』と答えた。
「「おぉーーっ!」」
全員が声をあげてからセイラに詰め寄った。残念なことに他の令嬢達は、未だに良い縁がない為にセイラの相手に興味津々だ。
そして、初等科からのクラスメイトのハーレイが真っ先に声を掛ける。
「どんな人なの?」
「えっと、ヴェルダー伯爵家の次男のグレン様なんだけど、騎士団に所属してるから騎士爵をもらえる方で、歳は18で私より6つ上の人なんだよ」
相手の方のことを教えるセイラは頬を赤くしてるので、相手のことが好きなんだと判った。貴族の家に生まれると、本人の意志に関係なく、親の決めた相手と婚姻するのが普通なので、私はお祝いの言葉をかける。
「その人のことが大好きなんだね。おめでとう」
「あ、ありがとう」
この日の話題は全てセイラのことばかりになって、夜更けまで『ワイワイ』と騒ぎながら楽しい時間を過ごした。
そして新学期を翌日に控えた朝は、中等科の校舎を見学しに行く。
なぜ校舎見学なのかというと、初等科・中等科・高等科・淑女科・選抜科とそれぞれ校舎が別になっているから。
取り敢えず、新学期から過ごすことになるAクラスの教室を確認をしに行くと、教室に人影が見えたので同じAクラスの生徒かと思ったので、そのまま教室の中へ入った。
「あっ、君達は中等科の生徒かな?」
教室に入ると中に居たのは生徒ではなく、大人の女性だったので教職員だと思い返事をする。
「はい、新学期から中等科に上がります。失礼ですがどちら様でしょうか?」
「私は明日から中等科Aクラスの担任を務めることになった【コリーヌ.ファレル】よ」
Aクラスの担任と聞いたので挨拶をする。
「そうなんですね!私はAクラスのアイマール.レジストリーです。よろしくお願いします」
「貴女がミーナリアの娘アイマールなのね。噂通りなのか楽しみにしてるわね」
コリーヌ先生は私のことを知っている様子で、明るい表情から冷ややかな表情へと変わったのだった。
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