第111話 囮作戦①
長期休暇も中盤に差し掛かると、草原での討伐訓練は卒業して次のステージへ移った。
草原地帯をさらに1日移動すると、森林地帯や山岳地帯があるので、そこでさらに強い魔物を討伐するようになっていった。
森林地帯には人型の魔物【ゴブリン】【オーク】【オーガ】や【
草原でワイバーンの討伐を経験したので、どっちで討伐をしても臆することなく、平常心で魔物へ立ち向かえた。流石にワイバーンは単独で倒すようなことはしないけど、他の魔物なら単独討伐ができるようにまで成長した。
ただ、ハンター登録をして以降は、1度も討伐協会の中へは入ることはなかったの。
今日も討伐が終わると討伐協会へは寄らずに、女学院で私を降ろしてから討伐協会で討伐手続きをしに行くみたいなので、思いきって声をかけてみた。
「私も一緒に行って手続きをするよ?わざわざ遠回りするのは時間が勿体ないじゃない」
「う〜ん、お金のやり取りは卒業してからで良いよ。結構な額になるから見せたくないかな?」
今は討伐の訓練をするだけなので、お金のやり取りは卒業してからと言われて、私は言い返すことができないので従うことにした。
「そっか、じゃあ部屋で待ってるね」
「うん、今日は買い物をしたいからアリシャを借りるね?」
「かしこまりました」
「うん、なにか甘い物をよろしくね」
「判ったよ。楽しみに待っててね」
お土産を頼んでおいて、私はお母さんの部屋へ向かって帰りを待つことにしたの。
§ミーナリア視点§
アイマールとは女学院で分かれてからは、アリシャと2人で討伐協会へと向かう。
馬車の中でアリシャは、メイド服からアイマールの普段着へと着替えてもらう。討伐協会内にイーブルへ情報を流す内通者が居るようなので、あぶり出す為にアリシャに囮になってもらう。
「こんな感じで大丈夫ですか?」
着替えを済ませたアリシャが、身嗜みを整えてから質問をしてきた。2人ともスレンダー体型なので、遠目から見れば簡単には見分けはつかないと思えるほどだった。
「うん、完璧だね。危険がないとは言えないけど、本当にやってくれるのね?」
「お嬢様の敵となるものは排除しないと、その為ならなんでもやり遂げます」
「ありがとう。じゃあ行くよ」
私達が討伐協会内へ入ると、受付係が近寄ろうとすると手で静止して、近づいて来る者がいた。
「これはレジストリー様、お連れの方もご一緒ですか?直ぐに担当者を呼んでまいります」
「待って、あなた会員証を身に着けてないの?」
討伐協会の職員は、全員が会員証を身に着けるはずなのに見当たらないので、そのことを聞いてみるとバツが悪そうに答えたのだった。
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