第109話 討伐を終えて

 お母さんにトドメを任されたので、私は全力の一撃をワイバーンに向けて放つ。


「お母さん、外したらフォローをよろしくね!炎の槍フレイムランス


 術者ではないお母さんとアリシャが驚くような大きな炎の槍フレイムランスが発現すると、ワイバーンの胸元に向けて飛ばすと轟音とともにその身を突き抜けていった。


『ゴォォォッ!』

「グルゥァアアアッ!」


 炎の槍フレイムランスが突き抜けると、ワイバーンの胸元には大きな穴が空いて、生死の確認をする必要もなく、周囲には焦げた臭いが漂っていた。


「や、やったよ!お母さん!」

「あははっ……、マールの全力ってとんでもない威力だったのね。単独でワイバーンを討伐できると思うよ」

「どうかな?攻撃を躱しながら反撃に備えるのは、今の私には真似できないよ。もっと経験を積まないとお母さんの領域に近づけないよ」

「本当に賢いね。足りない部分を把握するのが一番難しいだよ」


 ワイバーンの単独討伐も可能だと言われたけど、お母さんのような戦い方を身に付けないと無理だと答えると、嬉しそうに私を褒めてくれた。


 私とお母さんが話をしている間に、アリシャはワイバーンの亡骸に近づいて、完全に死んでいることを確認していた。

 

「ミーナリア様、このワイバーン亡骸はどうされますか?」

「私の空間操作ストレージに収めて討伐協会へ提出するけど、私が倒したことにするのが良いのかな?」


 私が倒したと報告すれば、かなりの注目を集めてしまう可能性があるので、お母さんの言う通りにすることにした。


「下手に目立つのは嫌だから任せるね」

「OK、じゃあワイバーンを収めたら出発するよ」

「「はい」」


 ワイバーンを討伐してから大岩に着くまでに、単角兎ホーンラビットを10体、草原猪グラスボアを4体倒すことができた。


 私達が大岩に近づくと、馬車は既に到着しているのが見えた。さらに馬車へ近寄ると、御者が私達に気づいたようで声をかけてきた。

 

「ミーナリア様、お帰りなさいませ」

「少し遅くなったわね。討伐協会へ寄って帰るからよろしくね」

「かしこまりました」


 馬車に乗り込むと、王都にある討伐協会へ向けて走り出した。女学院での修行と違って、かなりの距離を移動したので疲れていたのか?馬車に揺られていると眠くなってきた。そのことに気づいたお母さんが、『ポンポン』と膝を叩いてから声をかけてきた。


「ほら、眠いのなら横になりなさい」

「うん、少し横になるね」


 私達が討伐協会に着くまでの間を、お母さんの膝枕で気持ちよく寝ていると、その様子を見ていたアリシャは微笑みながら眺めていた。


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