第107話 ワイバーンとの遭遇

 アッサリと草原猪グラスボアを感じることと倒すことができたので、ここからは私が魔物を感知しながら進むことになった。当然だけど、気づくことができない場合があるので、お母さんは常に警戒してくれてるし、アリシャも先頭で気配を探ってるんだと思う。


「ん、かなり小さい魔素を感じる。5体でこれは単角兎ホーンラビット?」


 大岩に向かって進んでいると、小さな魔素を5つ感じたのでお母さんへ報告する。


「うん、正解だね。戦闘時の注意点は?」

「素早い動きからの刺突が厄介だから、多頭数との近接戦闘は避けるのがベスト。近づかれる前に全滅又は数減らすこと」

「うん、正解!じゃあ攻撃をしてみてね」

「はい!」


 戦闘における注意点を聞かれたので答えると、嬉しそうに返事をしてから攻撃するように言われた。攻撃方法を指示しないってことは、自分で考えろってことだから、多頭数を一気に攻撃する方法を考えて理魄で攻撃をしかけた。


「小さな相手なら威力を抑えても大丈夫。鉄の矢アイアンアロー!」


『ジュバババッ!』


 鉄の矢を射ると、単角兎ホーンラビットの気配が4つ消えたけど、1つは消えずにその場に残った。当たりはしたけど仕留めきれなかったみたいなので、注意をしながら気配のもとへ向かうと、後ろ脚に矢が刺さって身動きがとれない状態だったので、アリシャがトドメをさした。


「はい、お疲れ様!見えない相手に攻撃をすると仕留め切れないのは仕方ないね。次は見える位置まで近づいて攻撃をするよ」

「はい」


 この後も、移動を続けながら感知した魔物を討伐して行く、単角兎ホーンラビット草原猪グラスボアは私1人でも問題なく討伐できていた。このまま大岩に着くのかと思っていると、これまでとは違う強い魔素を感じたので、灰色狼グレイウルフかと思いお母さんに確認をした。


「あっ、お母さん、この感じは灰色狼グレイウルフなのかな?」

「シッ、身を伏せて、そんな可愛い物じゃないわ。かなり強い個体みたいだから、気づかれないように注意しながら進んで行くよ。ここからは私が先頭にたつから、ハンドサインに気をつけるように」


 私とアリシャは口を閉じたまま頷いて、指示通りに細心の注意を払いながら、魔素を感じた方向へ進んで行く。


 少しずつ進んでいくと、お母さんから『ストップ』のサインが出たので止まって、人差し指を『クイクイ』と指す方向を見ると、翼を持った大型の魔物が草原猪グラスボアを捕食しているのが見えた。


 お母さんが近くに来るように指示を出したので、近づくと小さな声で大きな魔物の正体を教えてくれた。


「あれは【ワイバーン】だよ。討伐推奨はAランク以上だから、私が居れば問題ないけど討伐してみる?」


 お母さんは討伐推奨Aランクのワイバーンを討伐するかと聞いてきたのだった……。

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