第105話 母はSランクハンター

 セリアさんが仕上げてくれた装備は、私とお母様の色になる緑を貴重としたもので、プレート部分にはミスリルが使われていて、学生が持つには贅沢すぎる物だった。身の丈に合わない装備だと思い、お母さんに使えないと伝えたけど、お母さんとアリシャは口を揃えて否定した。


「素材は、師匠であるアナスタシア妃爵様が用意した物だから、使わなければ失礼にあたるよ」

「お嬢様、命を守る物に贅沢過ぎるなんてことはありませんよ。可能な限り良い物を使うべきです」


 師匠が用意した素材だとか、命を守る物だとか言われると、何も言い返すことができないので、豪華な装備を身に着けることになった。


 これで装備が揃ったので、アリスター王国の討伐協会でハンター登録してから、遂に魔物討伐の訓練へ向かうことになった。


 アリスター王国には、魔物や賊などを討伐する討伐協会や、鉱石や薬草類を集める採集協会などがあって、今回は魔物を討伐する為に、討伐協会に登録する義務があるので協会へ向かった。


「事前に連絡をしたから、別室で手続きをするから安心してね」

「うん、ありがとう」


 私達は討伐協会の建物へ入ってお母さんがカードを提示すると、受付係が別室へと案内してくれた。


「レジストリー子爵様、担当の者が来ますのでしばらくお待ちください」

「ありがとう」


 受付係が部屋を出ると、私はお母さんに話しかける。


「こういう対応を見るとさ、お母さんが貴族なんだって実感できるよ」

「ははっ、この待遇は貴族というよりも、ハンターランクだと思うよ。私はこう見えてもSランクハンターだからね」


 お母さんは文官の爵位と言われる子爵でありながら、ハンターランクは最上位のSランクだったことに驚いた。なぜなら、ハンターランクは武門の爵位に繋がるので、普通なら男爵の爵位を授かるはずだと思ったから。


「じゃあ、担当者ってお母さん専属の担当者が居るってことなの?」

「そうだよ。こう見えても凄いんだよ?尊敬しちゃった?」


 後ろに控えるアリシャが『クスクス』と笑っていたけど、私は元から尊敬していたので、そのことを素直に伝えた。


「元から尊敬してたから、さらに尊敬したことになるかな?お母さんは本当に凄いよ」

「えっ、そう?ははっ、改めて言われると照れちゃうね」

「「あははっ」」


 少しお母さんの顔が赤くなるのを見て、3人で笑ってると担当者の女性が入ってきた。


「ミーナリア様、お久しぶりです。そちらのお嬢様が娘さんですか?」

「うん、アイマールって言うの。凄く可愛いでしょ?」


 お母さんが私を紹介すると、女性は私の方を向いて自己紹介をしてきた。


「アイマール様、私はカレン申します。ミーナリア様の専属担当者を勤めています。今後はアイマール様も受け持つのでよろしくお願いします」

「アイマールです。まだ討伐実績もあげてないのに専属なんて畏れ多いですが、どうかよろしくお願いします」


 互いに挨拶を済ませた後は、ハンター登録を済ませてから私のカードにハンター情報が記録された。


 ここまでの手続きをすることで、ようやく魔物討伐へ向かうことができるようになったなの。


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