第104話 過保護な母
装備が揃うまでは魔物討伐へは行けないので、それまでは師匠と実戦を想定した修行をした。
師匠が草原に現れる魔物をイメージした攻撃を、理力操作で再現したものを躱し続けながら、指定された場所に反撃をするものだった。
「ほらほらっ、
「はい!」
『シュ、シュ、シュン……』
「はっ、はっ、ほっ、やぁーっ!」
『バシュッ』
次々に放たれてくる土の理魄の攻撃を躱しながら、指定された人形へ近づいて物理攻撃を入れると、まだまだ師匠からの攻撃は続く……鬼だ。
「
『ドッ、ドン』
「えっ……、ちょっ、きゃっ!」
踏み込んでの攻撃をした後なので、動作が遅れて初撃は躱せたけど、2撃目3撃目が直撃してしまいその場に倒れてしまった。傍らで見学をしていたお母さんが血相を変えて駆け寄ってきた。
「マール!」
「痛っ……、油断しちゃった」
「師匠!複数との戦闘なら今の場合は、パーティーメンバーがサポートするものですよ?」
「ははっ……、そうだったね。ついつい」
「ついつい?それでマールに怪我を?」
「あっ、いや……、すまん悪かったよ……」
明らかに怒った表情で、師匠へ凄みのある声で話しかける。師匠は過保護なお母さんの圧力に押されて、苦笑いをしながら謝るしかなかった。
「お母さん、大丈夫だよ。ちょっと当たっただけだからね?」
「本当に、ちゃんと見せなさい」
お母さんが私の服を脱がせて、本当に怪我はないのかを確認しようとしたけど、ここは部屋ではなく訓練所なので流石に脱がされるのは不味い。
「やっ、ちょっ、ここは訓練所だから!」
「あっ、ごめん。直ぐに部屋へ戻ろうね。師匠、今日は終わりで良いですね?」
「あっ、そうだね。終わりにするよ」
お母さんは師匠の言葉を最後まで聞かず、私を連れて動き始めると、アリシャが訓練所へ入ってきた。
「お嬢様、セリア様から装備が仕上がったと連絡が入りました。って、どうされたのですか?」
「ちょっと、師匠の攻撃が当たったから部屋へ戻って異常がないか確認するとこよ」
「急ぎましょう」
過保護その2までやってきて、私は部屋へ戻るなりお母さんに丸裸にされて、当たってもいない場所まで確認された。
どこにも異常がないと判ると、待機してたアリシャも安心したようで、改めて装備が仕上がったことを教えてくれたので、明日にでも受け取りに行くことになったの。
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