第103話 楽しい1日

「そうかい娘だったのかい……」


 セリアさんは感慨深げな表情になって、懐かしい話を聞かせてくれた。私もお母様がどんな人だったのか知って、話に夢中になり装備を作ることを忘れてしまうほどだった。


「おっと、話が長くなったね。アリエルが使ってた装備をベースにするのが良さそうだね」


 セリアさんは少し話が長くなったことを謝ってから、装備のベースはお母様のものにするのが良いと伝えたの。


「それは良いですね。きっとお似合いになると思います」


 アリシャはお母様の装備をベースにすると聞いて嬉しそうに返事をすると、セリアさんは頷いてから私の方を向いて話しかけてきた。


「じゃあ、後は採寸と素材が決まれば装備の作製に取りかかれるよ」

「素材はアナスタシア様から預かってるの。これを使ってください」


 お母さんが、素材は師匠から預かってきたと言って、〚空間操作ストレージ〛から箱を取り出してセリアさんへ渡した後は、私の採寸をすることになった。採寸の途中にセリアさんに装備のデザインについてお願いをしてみた。


「あの〜、できればなんですが、この扇と色を合わせることは可能ですか?」


 私はお母様から相続した緑を基調とした刀と扇を見せた。


「その武具があるなら、防具もあるんじゃないのかい。サイズ調整ができると思うよ?」

「大きい物をサイズダウンすると、元の大きさに戻せないでしょ?私が成長した時まで取っておきます」

「なるほど、分かったよ。よし、採寸は終わったよ。ライトアーマーだから来週には仕上がるから楽しみにしてておくれ」

「「ありがとうございます」」


 私達はセリアさんに挨拶をしてから、店をあとにして討伐に必要な小物や私服に雑貨など、色々な物を購入して買い物をして回った。


「はぁ~、普段は1人で買い物をしてたけど、こういう買い物はとても楽しいね」

「うん、私は初めての買い物だからとても新鮮で楽しいよ。機会があったらまた行こうね?」


 お母さんは普段は1人で、私は初めての買い物だったのでとても楽しむことができた。こうして手を繋いで街中を歩いてると、異性も視界に入る程度なら緊張しなくなった。こういう外出を繰り返せば、異性への恐怖を克服できるのかな?


「長期休暇になったら、週に1回はこうやって買い物へ出かけようか?」

「うん、それが良い賛成〜!」


 この世界に生まれから初めての買い物は、最初は緊張してたけど、最終的にはとても楽しいものとなったのだった。

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