第100話 編入辞退

 初等科の修了試験と、王立学園への編入試験試験が終わったことで、修了試験の結果を基にした中等科のクラス分けが行われた。


 中等科のクラス分けは、各教室で黒板に張り出されたので確認しに行くと、そこに書かれていた名前を見て声を出して驚いたの。


「えっ……、キムとセイラにハーレイの名前まである。編入試験に合格したのにどうして?」


 私が目を丸くして驚いてると、後ろからキンバリーが『クスクス』と笑いながらやってきた。隣いたアリグリアも一緒に笑っていたので、知らなかったのは私だけのようだった。


「ふふっ、驚いた?私は編入を辞退したのよ。グリアのお姉様が言うには、編入した生徒は学園カーストの底辺になって、酷い扱いを受けるらしいから、編入する力があるのなら、女学院で頑張る方が良いとの意見なのよ」

「へぇ~、そうなんだね。でも家の方は大丈夫なの?王立学園はアリスター王国の最高峰だよ?」

「バーラント家のラフィア様の名前を出したら納得してくれたわ。学園の生徒会長が言うんだから信用できるでしょ?」


 編入を辞退したことで、実家から怒られるのではと心配をしたけど、学園の現状を説明したら納得してくれたようなので安心した。親しい友人と別れることなく、卒業まで過ごせるのはとても喜ばしいので、思わず笑みがこぼれてしまった。キンバリーはそんな私に笑顔で話しかける。


「あら、笑顔を見せてくれるなんて、私と一緒に過ごせることを喜んでくれてるの?」

「当たり前じゃない!仲の良い友達と一緒に卒業できるなんて、これ以上に嬉しいことはないよ」


 私は返事をすると、キンバリーとアリグリアを軽くハグして喜びを伝えると、キャメリア達も私達の元へやってきて、みんなで喜びあった。


「な、なによ!結局Aクラスは馴れ合い貴族ばかりじゃない」


 平民ではAクラスに一番近いと思われたテレーサは、自身が中等科のBクラスだったことと、Aクラス全員が貴族だったことに、苛立ちながら私達に絡んできた。


「馴れ合いじゃないよ?みんなが努力した結果なんだから、その言い方は間違ってるよ」

「私が努力をしてなかったと言うの?毎日勉強会をして頑張ってたのよ」


 見当違いな言いがかりなので、そのことを伝えるとさらにヒートアップして言い返してきた。


「勉強会で判らない所を放置してなかった?判る所だけを勉強してても成果は出ないんだよ?」

「マールが貴族に気を使って、私達を見捨てたからこうなったのよ!」

「私は貴族とか平民とかじゃなく、クラスメイトとして仲良くしようとしてたのに、それを拒否したのはあなた達だったよね?事実を捻じ曲げちゃダメだよ」

「っ……」


 最後は何も言えなくなり黙り込んでしまった。私達はクラス分けを確認したので、教室を出て寮へ戻る時にうつ向いたままのテレーサに声をかける。


「でも、私はテレーサのことを友達だと思ってるんだよ!勉強で判らないところがあれば、意固地にならずに普通に聞いてくれれば良かったのに、中等科でクラスは別になるけど、友達なんだから気軽に聞いて欲しいかな?」

「!?」


 少し驚いた顔をしながら私を見たので、『ニコッ』と笑顔を見せながら教室を後にしたの。


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