第91話 武術対抗戦 開始

 クラスが分裂して日が経つけど、相変わらず小康状態が続いて、貴族組と平民組に分かれたまま武術対抗戦の日が近づいてきた。


 そんな武術対抗戦の選抜メンバーを決める時に、問題が発生する。

 平民の生徒達がメンバーを決めるにあたって、総当たりによる上位5名ではなく、生徒間の投票によってメンバーを選出しようと言いだした。


「総当たりをして上位5名にすると、貴族が選抜メンバーを独占するのは判ってる。平民にも平等に出場する権利を与えるべきよ」

「平等に出場する権利はあるんだよ?総当りした結果で上位5名に入れば、平民の生徒でも出ることが可能なんだからね。逆に上位5名に入れなかった者を、投票で選出をすることの方が不平等な扱いなるんだよ」


 これまでは貴族だけしか選抜メンバーになることができなかった。それを学力なら模擬試験で、武術なら総当たり戦で、上位5名になれば選抜メンバーになることができるようになった。これ以上に平等な扱いはないのに、投票でメンバーを選ぶなんて不平等極まりない。


 その事を平民の生徒達に伝えると、納得しきれない生徒がジュリエッタ先生に助けを求めた。


「アイマールは貴族に有利になるようなことを言ってます。先生からなにか言ってください」

「はぁ~、アイマールが言ってることが正しいわよ。学力も武術も貴族が有利なのは、小さい頃から学ぶ環境にあったからかも知れない。でも、前期では学力で上位に入って、平民の生徒が選抜に選ばれたでしょ?これを不平等とは思えないから、投票に選出はみとめられないわね」

「そ、そんな……」

「入学してからは練習する環境は平等なの、努力すれば追いつけない事はないのよ?武術対抗戦の選抜方法は前期と同じ総当り戦とします」


 ジュリエッタ先生が投票での選出を認めず、総当たり戦で選出することになった。

 その結果、武術対抗戦のメンバーは、私、アリグリア、キンバリー、キャメリア、クリスティと前期と同じ5名となり、貴族の生徒が占めることになった。


 今回は先鋒キンバリー、次鋒キャメリア、中堅アリグリア、副将クリスティ、大将が私で出場届を提出をして、武術対抗戦の日を迎えた。


 初戦のDクラス、2戦目のCクラス相手に私の出番はなく、優勝決定戦となるBクラスとの戦いが始まろうとしていた。


 Bクラスの先鋒を務めるセイラは、前期の私と同じようにここまで全員抜きをしていた。Bクラスにはもう1人ハーレイも控えているけど、私と同じく手の内を見せていないのが不気味だった。


 優勝決定戦が始まる前に、セイラが声をかけてきて健闘を誓い合う。


「アイマール、貴女に勝つ為に今日まで自己研鑚に励んできたの。絶対に勝たせてもらうわよ」

「私も自己研鑚に励んだから負けないよ。それにキムやグリアも強いんだからね?」

「それを言うならハーレイも強いわよ?とにかく良い戦いをしましょう」

「うん」


 話が終わったあとは握手を交わして決勝の舞台へ向かって行ったの。






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