第86話 お母さんの過去
学力対抗戦が行われた残り週、平民の生徒達からの動きがないまま週末を迎えた。
週末は師匠の元で修行を行うので、気持ちを切り替えて修行に向かう。
(さぁ、ここ2日間は修行に集中するぞ!)
今行ってる修行は、私だけが持つミスリルの理魄を、師匠の掛け声に合わせて身体の一部を〚
「右手を扇!」
『シャンッ!』
「左足を剣!」
『シャンッ!』
最初の頃は『スゥ~』と言った感じで、〚
「イメージして変換するまでの時間をもっと短くすれば、戦闘中に〚
言葉での説明を聞いた時は、簡単な事だと思って舐めていたけど、この修行はメチャメチャ疲れるの……言われた身体の一部と武具を一瞬でイメージして、さらに一瞬で変換しなければいけないので、理力の消費以上に思考力への負担が大き過ぎて、私の頭がパンクしそうになる。
「はい、少し休憩にするよ」
「はぁっ、はぁ……あかん、きっ、つーーい!」
師匠の休憩の言葉と同時に、私は仰向けに倒れて『キツイ』と弱音を吐いてると、冷えたタオルを私の顔へ『パサッ』と被せてくれたので、顔から首筋にかけての汗を拭いた。
「はぁ〜、ええ気持ちやわ。ありがとう〜」
「マールの頭でも辛いんやったら、うちやと絶対に無理って事やね」
「えっ?こんなキツイ修行を考えといて、自分には無理とか言われたら引くんやけど?」
ドS級の修行を思いついた師匠の言葉を聞いて、頬を膨らませながら文句を言うと、人差し指で頬をついてから言い返してきた。
「弟子には強くなって欲しいから、キツイ修行は愛情なんやで?それにうちは〚
「むぅ~」
頬の膨らみを指で潰されたので、そのまま口を尖らせていると、私を優しく抱き寄せてくれた。
「今は争いとは無縁な学生やけど、卒業したらこの『ドロドロ』した世界で生きて行く事になるんやで、世界の拮抗が崩れたら戦だっておきる。そうなればミナは必ず戦地へ向かうんや」
「お母さんが戦地へ?なんでやの?」
「戦争で家族を亡くす悲しみが起こらんようにする為や。ミナは戦争で親を亡くしててな、戦争が長引けば親を亡くす子が増えるから、少しでも早く終わらせる為に戦地へ向かうねん」
「お母さんにそんな過去が……」
お母さんとの会話で、そんな話は聞いた事がなかった。そんな過去があったなんて……私はその事を聞いた後は何も言えなかった。
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