第83話 望まぬ形の再スタート

 あと少しでクラスが1つになると思ったら、平民のクラスメイト達と決裂した事で、クラスを1つにする事に向けて、望まぬ形の再スタートとなった。


「はぁ〜、気が重いな……」


 目覚めて早々に愚痴をこぼす。

 

 今日から教室へ向かうと、クラスは完全に2つに分かれている。いや、キンバリー様を含めると3つに分かれるのか……


 そんな事を思いながら食卓に着くと、アリシャが私のこぼした愚痴が気になったのか、心配そうに声をかけてくれた。


「お嬢様、キンバリー様を庇った事で大変な状況になりましたね。自業自得なのですから放って置けば良かったのでは?」

「私のお節介だったかも知れないけど、結果として良かったのかも知れないんだよね……クラスメイトがあそこまで増長してるとはね」


 勉強会によって学力と武術の成績が向上した結果、全てにおいて劣等感を持っていたけど、学力と武術は貴族に劣っていないという自信が、彼女達を傲慢な考えにさせたようだ。


「それで、これからはどうされるのですか?」

「当分は何もしないかな?勉強会を止めればあの娘達の成績が落ちると思うんだよね。その時に頼ってくれれば手を貸そうと思うくらい?今はキンバリー様とキャメリア達が仲良くする事を優先するよ」

「そうですか。あまり無理をなさらないように」

「うん、気をつけるよ」


 朝食を済ませてから教室へ向かう。


 教室へ入ると、以前とは違う完全にアウェイな雰囲気になっていた。私の後に入ってきたグリア達も、その異様な雰囲気に気づいて話しかけてきた。


「ははっ、ここまで露骨なのね……」

「逆に言えば、貴族はそんな露骨な感じで平民に接してたんだよ。自分達が感じた事をそのまま返してきてるんだよ」


 彼女達の態度は、これまで貴族から受けた嫌がらせを、そのまま返されてるんだと応えると、アンナマリアが申し訳なさそうな顔をして口を開いた。


「そう言われると、自分のしてきた事を恥ずかしく思ってしまうね」

「本当だね、私達はああいう態度を取ってたんだね。恥ずかしく思うけど、自分達のしてきた事を知る事ができたと思えば良かったのかな?」

「「あははっ」」

「トラブルがあったのは残念な事だけど、逆に判って良かったと思える事もあったね」


 そんな話をしていると、キンバリー様が教室へ入って来たので、私は挨拶をしに行く。


「おはようございます」

「お、おはよう。その、なにか雰囲気が変な気がするんだけど?」

「その事は放課後に説明しますね」


 その日の授業が終わって、普段なら勉強会をするんだけどこの日からは、平民の生徒だけが教室に残って勉強会が開かれたのだった。


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