第81話 過ちは誰でも犯すもの

 キャメリア達の表情には嫌悪感が現れていた。キンバリー様もその事に気づいて、何も言えずに下を向いてしまった。


「キンバリー様はね、みんなと仲良くしたいと思って来てくれたんだよ」

「「……」」


 私の言葉を聞いても嫌悪感があるせいか、信じるよりも疑う気持ちの方が強いみたい。キンバリー様と同じように3人は口を閉ざしたまま。


「そうなの?それなら最初に言うべき事があるんじゃないの?」


 グリアが、少し首を斜めにしながらキンバリー様に声をかけると、顔は下を向いて目を瞑ったままキンバリー様は口を開いた。


「キャメリアとクリスティの実家への圧力をかけてごめんなさい!アンナマリアも暴力を振るってごめんなさい!私はアイマールと話をして……自分の間違いに気付いたの。直ぐには信じる事はできないと思うけど……今はそれしか……」


 途中から涙声になって、最後は言葉を詰まらせてしまった。私はキンバリー様を肩に手を回すと、そのまま私の胸に顔を寄せて泣き出した。


「キャメリア達は思うところがあるよね。でも、私はキンバリー様を信じたいの」

「私もキンバリーを信じるわ。私も入学した当時は同じような考えだったもの。マールに出会ってなければ今の私はないわ」


 私がキンバリー様の言葉を信じると言った後に、グリアも同調してくれた。3人が顔を見合わせると、クリスティが重い口を開いた。


「確かに私達も平民への嫌がらせはしたよ。私とキャメリアはキンバリー様から離れたから、私達への嫌がらせなら許せたけど、実家への圧力はあまりにも酷すぎるよ……」


 続けてアンナマリアも思った事を口にした。


「私もお父様から手紙で、肩身の狭い状況になったのは私のせいだと叱られたもの……」


 3人は、本人だけでなく実家への被害もあったから、簡単に気持ちの切り替えができない事を理解した。それでも、今までなら本人を目の前にして言えなかった事を言えていた。


 思った事を言えるようになれば、これまでなかった言葉によるコミュニケーションが取れて、少しずつ関係修復ができるんじゃないかと思ったの。


「直ぐには無理でも、今みたいに思った事を言い合って、お互いが少しずつ歩み寄れるかも知れないよ?キンバリー様もその辺りの事は理解してるよね?」

「えぇ、直ぐに輪の中に加われるとは思ってないわ。少しずつ信頼を得るように努めるだけ……」


 私の言葉の後に、キンバリー様は声を振り絞って返事をする。変わらず重い雰囲気が漂う中、グリアが『パチン』と両手を叩いてから少し大きな声で話し始めた。


「過ちは誰でも犯すものでしょ?その後にどのような行動を取るかが重要なのよ!マールもそう思うでしょ?」

「そうだね。キンバリー様のこれからの行動を見て行こうよ」

「「そうだね……」」


 その後は、達は部屋へと戻って行って、部屋には私とキンバリー様が残った。


「話し合いの場を作ってくれてありがとう。明日から認められるように頑張るよ」

「うん、困った事があれば抱え込まずに伝えてね。絶対に孤独にはさせないからね?」

「あっ、ありがとう……」


(ここから大変だと思うけど、応援するから一緒に頑張ろうね)


 

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