第66話 アンナマリアとの交流

 夕食の後、平日は師匠との修行ができないので、第2段階の訓練をするように言われた。それだけだと味気ないと思いアレンジをしてみた。


 アレンジした内容は両手に水の理魄を具現化してから、形状を変えていくのが応用第2段階だけど、両手の指先から理力を放出して具現化する。具現化した10個の水玉を親指は1から、人差し指は2から、中指は3から、薬指は4から、小指は5から数字を大きく変化させてみる事にした。


(これはかなり難しいかな?でも難しい方が修行になるから良いよね)


 先ずは指先に理力を放出して水玉を具現化する。


『パ、パ、パ、パ、パッ』


 次に数字に形状変換させようとすると『ビチャ』と全ての水玉が弾けた……いきなり全ての指先で違う形状変換は難しすぎた。水玉が弾けたので服が濡れてしまい、薄手の服に着替えて修行を再開しようとすると、ドアをノックする音がなったので、アリシャが対応してくれた。


『コンコン』

「どちら様でしょうか?」

「アンナマリアです」


 私が頷くと、アリシャはドアを開けて部屋へ招き入れた。私は席を立ってからアンナマリアの元へ歩み寄って、ソファーへ案内して座ってもらい、歓迎の言葉をかける。


「アンナマリアが来てくれて嬉しいわ」

「急に来て大丈夫だった?薄着みたいだけど何かトレーニングでもしてたの?」


 私が薄着だったので、『チラチラ』とこちらを見ながら話していると、アリシャが羽織る物を用意してくれたので、慌てて身に着けた。


「ごめんね。ちょっと理力操作の練習をしてたんだけど、失敗をして水浸しになったの」


 笑いながら説明した後に軽く舌を出すと、理力操作という言葉に興味があったのか、私に身を寄せるように質問をしてきた。


「理力操作って聞いた事がないんだけど、どんなものなの?後期の授業で習う内容なの?」

「えっとね、実際に見てもらいながら説明をするから、少し離れるね」

「うん」

「手のひらへ水の理魄を具現化してから、その状態を維持するんだよ。こんな感じね」

『パッ』

「わっ、凄い!」


 手のひらで具現化された理力の水玉を、アンナマリアは驚きながら眺めていた。


「この練習をしてる時に水玉が弾けちゃったから、濡れた服を着替えてたんだよね」

「近くで見ても大丈夫?」

「うん、この形なら安定してるからいいよ」


 私に近寄って来てからは、食い入るように水玉を眺めながら、興味津々に質問をしてきた。


「これは誰にでも出来るの?」

「かなり難しいみたいなの。個人差もあるけど、理力量もかなり必要だからね」

「そうなんだね。でも本物の水玉を出せるなんて凄いんだね」


 そう言った後に、アンナマリアの指先が水玉に少し触れると弾けてしまった。


『バシャ!』

「「キャッ」」


 2人揃って弾けた水で濡れてしまった。


「こんな感じで水玉が弾けたから服を着替えたんだよ。アリシャ、タオルと着替えを私とアンナマリア分も用意してくれる?」

「かしこまりました」


 その後は濡れた服を着替えて、乾くまでの間はアンナマリアと一緒に勉強をしたのだった。


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