第62話 応用第3段階
水玉の周りを理力コーティングを施すと、思った通りに水玉が弾けずに動かす事ができた。
しかし、理魄を具現化しながら、理力コーティングを施しつつ、さらに動かすという一連の操作はかなり難しくて、スムーズに動かすにはもう少し時間が掛かりそうなのと、予想以上に理力を消費していて、少し動かしてると理力が底をついたので止めた。
「はぁ、はぁっ……」
(想像以上にキツイなぁ〜……)
私が第2段階を止めて、額から流れる汗を拭うとすると、師匠が声をかけてきた。
「これは驚いた!第2段階をこんなにも早くクリアするなんて……」
「でも、ミナ先生のようにスムーズに動かせません。もっと無駄を省かないと直ぐに理力が尽きてしまいます」
私は褒められた事よりも、無駄が多いと反省をしていると、師匠に頭を『ポンポン』と撫でられたのだった。
「アイマールは真面目過ぎるね。そこまで完璧を目指さなくても良いんだよ?ちょっとした事でも成功すれば大喜びすれば良い。そして、その時は私やミナも一緒に喜びあうのなんだよ。だから、第2段階ができた事を喜ぶんだ」
「はい!」
師匠の言葉に笑顔で応えると、ミナ先生が後ろから『ギュッ』と抱きしめてきて『おめでとう!流石は自慢娘だよ』と伝えた後に頬にキスをしてくれた。こういう時は先生と言わない方がいい気がしたので、まだ慣れてないけどお母様と言ってみる事にした。
「ありがとうお母様。修行に付き合ってくれて感謝してるよ」
「あっ、うん。修行に付き合う事しか、母親らしい事は出来ないからね……」
ミナ先生もお母様と言われる事に慣れてないので、私の言葉を聞いた後は少し頬が赤くなっていた。母娘になって間がないし、一緒に暮らしてる訳ではないので、慣れるにはまだまだ時間が必要になるね。
「今日の修行はここまでだね。明日からは応用第3段階を始めるよ。あと、これからは第2段階と第3段階を交互に修行するからね」
「はい、ありがとうございました」
理力が尽きかけたので、修行はいつもより早く終わった。私は寮へ戻ってからは、師匠に言われた事を思い出したので、褒められた事をアリシャに伝えた。
「それは凄いですね!アナスタシア様から師事を受けるだけでも凄いのに、さらに褒められるお嬢様が誇らしいです」
「へへっ、褒められるのも嬉しいけど、喜びの感情を表すと心が『ホッコリ』するね」
「そうですね。女学院へ入学してから、お嬢様は本当によく笑うようになりましたね」
「うん!家に居た頃は狭い世界に閉じ籠もっていたから、楽しいと思える事がなかったからね。今はグリアやクラスメイト達と過ごす毎日が、本当に楽しいんだよ。女学院の事を教えてくれてありがとうね!アリシャ大好き」
そう言った後にアリシャに抱き着くと、勢いそのままに倒れ込んでしまった。
「はい、私もお嬢様の事が大好きです」
私を受け止めて倒れたまま、しばらく抱き合ったまま喜びを感じあったの。
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