第60話 理力操作の応用
転籍の話を聞いた翌日は、特に変わった事はなく普段通りに朝を迎えて、午前中はクラスメイトと後期へ向けた予習をして、午後からは師匠との修行を行う為に部屋ではなく、今日からは特別訓練室を使っての修行になる。
特別訓練室へ着くと、そこにはミナ先生も来ていて、私と目が合うと手を振ったので、小さく手を振りながらミナ先生の元へ駆け寄った。
「ミナ先生こんにちは、どうして特別訓練室に居られるんですか?」
「マールが理力操作の応用を始めると聞いたからね。私も一緒に修行をするんだよ」
今日から始める理力操作の応用は、ミナ先生も加わって修行をするらしい。弟子見習い程度の私がミナ先生と一緒に修行って……貴重な修行の時間を、私のレベルに合わせるんだとしたら申し訳なく思ってしまう。
「2人とも来てたんだね。今日からアイマールも理力操作の応用を始めてもらうよ」
「流石は私の娘だ。こんな短期間でここまで来るなんて鼻が高いよ!」
ミナ先生が調子良さそうに娘になった私を褒めると、師匠が呆れ顔でミナ先生に話しかけた。
「ミナは理力操作の基礎を卒業するのに2年掛かったからね。娘は1カ月って事を考えると、一瞬で追い抜かれるんじゃないかい?」
「うっ……私は師匠達みたいな天才ではなくて、努力を積み重ねて徐々に成長するタイプなんですから仕方ないですよ……」
「そうかい、じゃあ、アイマールは初めてだから説明をするよ」
「はい、よろしくお願いします」
理力操作の応用は基礎の延長線で、手のひらに理魄の玉を出してから、その状態を維持し続ける事だったけど、応用の第1段階は質量はそのままで形状変化をする。第2段階はお手玉のように動かす。第3段階は的へ向けての射出になる。
説明を受けた後に、中等科になれば理魄の授業で射出訓練がある。それって、第3段階と同じなのでは?と思ったので、師匠に質問をした。
「第3段階の射出は、中等科になれば射出訓練がありますよね?」
「そうだね。授業での射出と、第3段階の射出の違いを見せてあげるよ」
師匠は私の疑問に対して、同じ射出でも全く違う事を手本を見せて教えてくれた。
「先ずは、授業での射出はこれだよ」
『ボンッ!』
言葉の後に、火の理魄を練り上げて的に向けて射出して、的に当たるとそれなりの衝撃音がした。
「次は、第3段階の射出だよ」
言葉の後に、槍の形状をした火の理魄が現れると、もの凄い勢いで的に当たると、先程とは比べ物にならない衝撃音と衝撃波が起こった。
『ドカァーン!』
(えっ……桁が違うんだけど……)
私が目を点にして驚いてると、師匠は笑いながら私に話しかけてきた。
「さっきも言ったけど、ミナですら基礎を卒業するのに2年掛かったんだよ。ハッキリ言えば、どれだけ時間をかけても95%の者は、基礎の卒業に至らない。だから女学院では射出のみを教えてるんだよ」
「判りました。第3段階までたどり着くように頑張りますね」
そう言った後から、応用の第1段階の修行を開始したのだった。
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