第57話 無限の可能性

 師匠との修行が始まって長期休暇の半分となる1カ月が経過し、私が理力操作を完全にマスターすると、流石の師匠も驚きを隠せなかった。


「マールほど飲み込みが早い娘を知らないよ。この私ですら1年掛かった理力操作を、たった1カ月でマスターするなんて驚きだよ」

「理魄を失った時に、〚創造変換トランスフォーム〛で出来る事を色々と試したからだと思います」


 そう、私は〚創造変換トランスフォーム〛で色々な物を創造してる時に、理魄も作れるのではないかと思って作った事も伝えた。


「その〚創造変換トランスフォーム〛で色々と試したと言ったけど、実際にどんな事をしたんだい?」


 理魄を作ってからも、色々と試した中で自分でも1番凄いと思った物を披露する事にした。


「これから見せますが驚かないでくださいね」

「何年生きてると思ってるんだい?私が驚く事なんて思わないで良いよ」

「では、いきます」


 私は身体の内側から炎が溢れるイメージをすると、全身が炎に包まれた。


『ボワッ!』

「えっ!ちょっ、マール!燃えてるよ!」


 驚く事なんてないと言っていた師匠が、目を丸くして驚いていた……


(驚かないって言ってたのに……)


「これが炎化フレイムです。全身を〚創造変換トランスフォーム〛で炎にしました」

「身体が焼けるてる訳ではないのかい?」

「私は大丈夫なんですが、触れれば燃えるので気をつけてください」

「その、服は燃え尽きないのかい?」

「へへっ、服も変換した物なんですよ。初めて炎化フレイムをした時は燃えちゃって……」


 私が炎化フレイムを解いて元の姿に戻ると、その後は水化アクア空化エアロ雷化トルエノも披露した。


「ふむ、マールの〚創造変換トランスフォーム〛が究極にして無限の可能性を秘めているね。明日からの修行は次のステージへ進むよ」

「はい、よろしくお願いします」

「さぁ、武術の修行をしてくるといいよ」

「はい、お疲れ様でした」


 私は師匠の部屋を後にして、アリシャと武術の訓練をする為に訓練場へと向かった。


§ミナの視点§


 師匠に呼ばれて学院長室へ訪れる。


「ミナです。呼び出しなんて珍しいですね」

「レジストリー男爵家へ、私の名代で遣いに行って欲しくてね」

「何をすればよろしいのですか?」

「私の権限でミナ.レジストリー子爵家へ養女にさせてもらうんだよ」

「へっ?」


 師匠から突拍子もない事を告げられて、私は言葉を失ってしまって。養女って……アイマールが私の義娘になるって事なの?


「何を情けない顔をしてるんだい?アイマールを実家の呪縛から解放する為だ。これで借金の肩に差し出される事はなくなるからね」

「!?」

「判ったら準備をして出掛けるんだよ」

「はい、直ちに出発します」


 普段は権力を使いたがらない師匠がアイマールの為に権力を行使された。少し妬けるけど事情を知れば最高の判断を下されたと思った。





 

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