第51話 Aクラスの変化

「そこまで、勝者アイマール!この勝利により武術対抗戦はAクラスの優勝だよ!」


 私は闘場から降りて行くと、グリア、キャメリア、クリスティは駆け寄って来て4人で喜びを分かち合った。


「凄いわマール!1人で優勝したのよ!」

「みんなの応援があったからだよ。キャメリアとクリスティの想いも、しっかりと届いていたよ」


 グリアは思い切り抱き着いた後に、私1人で優勝したと言ったけど、団体戦独特の雰囲気が力を与えてくれたと伝えると、キャメリアとクリスティも私に抱き着いたの。


「私なんて、怪我をして後の試合には出てないのに……本当にありがとう。マール」

「アイマール、私は間違ってたわ……貴女のような人を淑女というのね」


 これまでクラスメイトではあったけど、交流なんて殆どなかった2人からの言葉は、素直に嬉しかった。


「ありがとう。これからも仲良くしてくれると嬉しいな」

「「勿論よ」」

「そろそろ、表彰式が始まるわ。いつまでも喜んでないで整列するわよ」


 喜びの輪に加わって来なかったキンバリー様が、無表情のまま声をかけてくる。確かに他のクラスは闘場に上がり始めていたので、私達も闘場へと急いで向かう。


「優勝したんだから、もう少し嬉しそうにすれば良いのに」


 グリアが小声で私達に向かって話すと、キンバリー様の耳に届いたようで、『キッ』と少し険しい顔になって睨んだ。


「出番もなく終わって、素直に喜べる訳がないでしょ」

「あぁ、怖い怖い、自分で大将になると言ったのに、試合に出れなくて怒るとか変よね?」

「っ……」


 本人が望んで大将になったのは事実なので、何も言い返せずに闘場へ上がって行った。グリアはそんな様子を見てから、私達に舌を出しながらウインクをしたので、キンバリー様に気付かれないように顔見合わせて、笑顔で軽く頷いたの。


 私達が整列を済ますと、ミナ先生を中心に各クラスの担任が並ぶと、表彰式が始まる。


 優勝した私達には記念プレートと腕章が渡された。クラス委員長として記念プレートを受け取ったキンバリー様の顔は、笑顔ではあったけど作り笑顔だと判るものだった。


 そして、最後に武術対抗戦の最優秀選手に私が選ばれて、ダイヤモンドのピアスを与えられた。ミナ先生から受け取る時に声をかけられる。


「凄い活躍だったよ。この結果なら師匠も必ず弟子として迎えてくれるよ。近い内に紹介するから楽しみにね」


 そう言った後に、『パチッ』とウインクをしたので、返事に困りながらも無難に応えた。


「ありがとうございます。お師匠様に宜しくお伝えください」

「ふふっ、本当に賢い娘だね。姉弟子になる日が楽しみだよ」


 無事に表彰式が終わって教室へと戻ると、他のクラスメイト達が、自分達の事のように喜びながら迎えてくれた。キャメリアとクリスティも最初は戸惑い気味だったけど、徐々に雰囲気に慣れてくると、クラスメイト達と笑顔で接して喜びを分かち合ったの。


(あと少しでクラスがひとつになれるかな?)



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