第50話 武術対抗戦 終了

 ルクレツィアは敗れた事実を受け止める事が出来ないのか?闘場で呆然としていた。


「ルクレツィア、次の試合の妨げになるから、敗者は闘場から去りなさい」


 ミナ先生が少し厳しい声をかけると、『ハッ』と我に返って立ち上がると、苦虫を噛み潰したような表情で、私に向かって口を開いた。


「この事は父に報告するわ。また遊んでもらえるといいわね」

「くっ……」


 ルクレツィアが言葉を放った直後に、私が『ビクッ』と恐怖で身体が竦んでしまったその時、突然ルクレツィアが闘場から吹き飛んだ。


「キャッ」

「不必要な脅しを許すつもりはないよ。あんたはこの女学院に相応しくないね。私の権限を行使して、あんたを退学処分にする」


 闘技場の観覧席の方から大きな声が聞こえたので、全員がその方向へ顔を向けると、特別席から武術対抗戦を観戦していた学院長だったの。特別席から闘場までの距離を考えると、ルクレツィアの声をどうやって聞き取ったのか、理屈が判らなかったけど学院長の言葉で、身体の竦みが消えていた。


「わ、私は何もしてません!」


 何もしてないと主張をするルクレツィア、退学処分と言われて必死に否定すると、学院長は手に持っていた杖を『トン』と足元に当てると、ルクレツィアが私に向けて言った言葉が闘技場に流れた。


『報告するわ。また遊んでもらえるといいわね』

「これはあんたの声だ。これでも嘘だと言うのかい?守衛兵!あの娘をこの場から連れ出して、物をまとめさせ家へ返すんだよ」


 項垂れるルクレツィアの下へ守衛兵がやって来ると、両サイドからしっかりと掴まれて、闘技場から連れ出されたのだった……


「対抗戦を中断させて悪かったね。あまりにも悪質な行為だったから見逃す訳にはいかなくてね。ミナ、試合を再開してくれるかい?」

「は、はい!Dクラスの大将上がりなさい」


 闘技場内が騒然とする中、学院長が再び声をあげて場の雰囲気を収めて、武術対抗戦を再開する事になり、Dクラスの大将グリフィスが闘場へ上がる。


 彼女はここまで1度も試合をしてない。戦い方が不明なので本当なら様子を見るべきだけど、特殊武具を使用してるのなら受けるのは不利になる。なので最初から仕掛ける事にした。


「では、6戦目開始!」


 私は一気に距離を詰めて、相手に攻撃の隙を与えない。グリフィスは長さの違う双剣でなんとか凌ぐ、武具と武具の攻防に必死なようで、私は足下が疎かになってるのを見逃さず、身体を回転させて回し蹴りを放って足下を払うと、バランスを崩し右手の武具を離して手を着いた。


「あっ、まだやれるわ!」


 残った左手の剣で抵抗しようとしたけど、私の連撃の前に剣を弾かれたところで、グリフィスの敗北が確定したのだった。


「そこまで、勝者アイマール!この勝利により武術対抗戦はAクラスの優勝だよ!」


 私達のAクラスは、学力対抗戦に続いて武術対抗戦でも優勝する事が出来たのだった。私は闘場から降りてグリア、キャメリア、クリスティと抱き合いながら勝利を喜んだの。


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