第48話 優勝決定戦始まる
Aクラスが全勝をキープした後は、BクラスとDクラスの試合が行われる。私の見立てではBクラスの方が強いと思うけど、Dクラスの生徒が使っていた武具の違和感が気になる。次の試合では戦闘スタイルよりも、武具の動きに注目する事にしたの。
「BクラスとDクラスによる第4試合を始めるわよ。先鋒は闘場に上がって!」
先鋒が始まると、セイラが苦戦を強いられていた。外から試合を見る感じでは、セイラがあの程度の攻撃を捌く事に苦労してる理由が判らない。私は
『ビ、シュッ』『ガッ』
『ザ、シュッ』『ガキッ』
(これは……特殊武具の部類かな?スイングする時に加速してるように見える)
その後もセイラは苦戦しながらも、徐々にペースを掴んでなんとか勝利をもぎ取ったけど、次の次鋒との対戦で惜しくも敗れた。試合が続いて最後はハーレイが、Dクラスの副将ルクレツィアに惜しくも敗れた所で終了した。
「それまで、勝者ルクレツィア!」
「ありがとうございました」
「あ、ありがとう」
試合が終わってBクラスの生徒が引きあげるところへ声をかける。
「セイラ、あの武具の動きが気になったんだけど、違和感を感じなかった?」
「えぇ、全く理由は判らないけど、思ったよりも攻撃速度が早く感じたわ。貴女から見ても違和感があったのね」
「うん、あれは特殊武具だと思うけど、先生のチェックを通ってるから抗議しても無駄かな?」
「貴女なら勝てるじゃないの?」
「やれるだけやってみるね、貴重な情報をありがとう」
セイラに礼を言うと、手を振りながらクラスメイトの元へ向かって行った。
そして、3位決定戦となる第5試合が終わった後に、AクラスとDクラスの全勝同士による優勝決定戦が始まる。
「これよりAクラスとDクラスによる優勝決定戦を行います。先鋒は闘場へ上がって」
先ずキャメリアが棄権して、次鋒のクリスティが上がる。事前に相手の攻撃が速い事を伝えたけど、クリスティは敗れてしまった。
そして、私が闘場へ上がるとすれ違う時に声がかかる。
「速いと判っても感覚がズレるから反応が出来なかった……ごめんね」
「ズレる……ありがとう」
クリスティの感想を聞いて、何となくやるべき事が判った気がした。攻撃を受ける時にスイング速度が一瞬速くなるから、反応に苦労するようなので受けずに攻め続ける事にする。
「では、第2戦目開始!」
私は開始と同時に一気に間合いを詰めて、相手が仕掛ける前に圧倒的な手数で反撃の隙を与えない。こちらの攻撃を受けてる間はスイングが出来ないので、速さのズレを感じる事はなかった。そのまま連続攻撃を続けてると、相手は後退するしかなく最後は闘場から落ちて失格となる。
「きゃっ……」
「それまで、勝者アイマール!」
私の作戦は見事にハマって、次鋒、中堅と相手に何もさせずに勝利して、あの男の娘だと伝えてきたルクレツィアが、薄っすらと笑みを浮かべながら、闘場へと上がってきたのだった……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます