第45話 逆転勝利

 Bクラスの先鋒セイラに勝利して、次鋒の生徒が闘場へ上がってくる。セイラが圧倒された事に動揺してるのか、落ち着きがないように見えたので、大将までは勝ち進めると思ったけど、クラスの勝利の為に油断はしない。


「では、4戦目開始!」


 剣を構える相手は攻める気がないようで、防御に徹するつもりだろうけど、そんな事をさせる訳もなく扇を投げて右足首に当てる。


『シュッバ!』

「痛っ!」


 当たった痛みで足捌きが鈍くなったところへ、一気に距離を詰めて、広げた扇を水平に振り抜いて首元で止めると、相手は目を瞑って剣を離して声をあげた。


『ビュッ!』

「キャッ!」

「そこまで、勝利アイマール!」


 その後もBクラスの中堅、副将に勝利して大将との7戦目を迎えた。


 相手はBクラスのクラス委員長のハーレイ.ミドウェイ伯爵令嬢で、大剣を背負って闘場へ上がってきて、余裕の表情で話しかけてきた。


「セイラに勝つなんてやるじゃない。でも、じっくりと戦い方は見たので対策は万全よ」

「……よろしく」

「不必要な会話は控えるように。7戦目開始!」


 ハーレイが背中の大剣を軽々と抜いて思い切り振り抜くと、斬撃が飛んで来たのを扇を仰ぐように斬撃に合わせて軌道をズラした。


『バシュッ!』

『ズッ、バァーン!』


 私は武具の打撃のみしか認められてないと思い、ミナ先生の顔を見ると直ぐに返事が返ってきた。


「ハーレイが行ったのは理魄ではないよ。才覚〚大剣術〛に斬撃だから問題ないからね」

「私は鍛え方違うから、初等科だけど〚大剣術〛の武技が使えるのよ。降参する?」

「まさか?私も才覚を使用するだけです。行きますよ!」


 私は才覚〚│創造変換トランスフォーム〛で身体強化をしてから、手首のスナップを効かせながら扇を振って斬撃を連続で飛ばす。


『シュバ、シュバ、シュバッ!』


 軽い動作からの斬撃に、ハーレイは一撃目は大剣で弾くも、続けて襲ってくる斬撃に対応出来ずに、右スネと左肩に当たって後ろへ倒れそうになったけど耐えた。


「くっ……あんなに軽々と斬撃を……でも!」


 両手で柄を握って思い切り力を込めてから、剣先を私に向けて突撃を仕掛けてきた。距離を取ってると斬撃が飛んでくるので、物理攻撃での戦い方を選択したみたいだった。


 ハーレイの突撃を扇を畳んで躱そうとすると、大剣を右手一本に持ち替えてから、左手を剣に添えて横向きにして大剣を投げてきた。


(大剣を投げる?何かトリッキーな事を仕掛けてくるのかな?)


 私は警戒しながらもジャンプして大剣を躱す。すると、ハーレイは腰に手を当てて2本の短剣を取って、着地しようとする私へ攻撃を仕掛けてきた。使用する武具は1つとは限らないし、ルール違反ではないので、見事なトリック攻撃だった。


「貴女は強い。だけど、戦闘経験値の差が出たわね!」


 ジャンプした事で、私は完全に死に体となっていたので、誰の目からも私の敗北は間違いないと思ったのかも知れないけど、私は左手で持っていた扇を広げてから投げて、駆け寄るハーレイの足を払った。


「あっ、キャッ!」


 回転した扇がハーレイの両足を払うと、前のめりに転んでしまった。私は着地してから右手の扇を眉間の前で寸止めすると、ミナ先生が試合を止めた事で7戦目が終わった。


「そこまで、勝者アイマール!」

「ありがとうございました」

「そんな……」


 Aクラスの初戦は、私の5人抜きによって勝利したのだった。





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