第43話 武術対抗戦 開幕
武術対抗戦の前日に行われた会合で、初戦の組み合わせがミナ先生の抽選で、AクラスはBクラスとの対戦が決まった。出場届はミナ先生へ提出するだけで、出場順は初戦を迎えるまでは判らなかったの。
そして、武術対抗戦の当日を迎える。
普段の訓練場ではなく闘技場で行われるので、観覧席からは同級生だけではなく、上級生も武術対抗戦を観戦しにきていて、なかなか賑やかな雰囲気になっていた。その状況の中で、出場する生徒達が闘技場に入場して闘場に上がると、『ワァーッ』という声援が沸き起こった。
(わぁ……普段と違う状況だから、場の雰囲気に飲まれないようにしないとね)
私はこの歓声で、冷静さを失わないように気を引き締めてる。グリア達の方を見てみると、グリアは『キョロキョロ』と周りを見て、かなり緊張気味だったので声を掛けた。
「大きく深呼吸をして、少し気分を落ち着かせようね。声援に応えるのではなく、いつも通りにすれば結果は出るよ」
「そ、そうね。マールは緊張してないの?」
「『ドキドキ』してるけど、私は表情に出ないみたい。ほらっ」
そう言ってから、グリアの手を私の左胸に当てて、私の鼓動を感じてもらった。
「あっ、本当だ『ドキドキ』してる」
(いきなり胸に触れされるなんて……マールって恥ずかしくないのかな?)
「ね?一緒に深呼吸をして落ち着こう。スーッ、ハァ〜」
「そうね。スーッ、ハァ〜」
「どう?わたしの鼓動は落ち着いたでしょ?」
「そ、そうね」
(マールって、柔らかくて温かい……)
そんな事をして落ち着いた頃にミナ先生が闘技場に現れて、挨拶と武術対抗戦開始の告げる。
「武術対抗戦に出場する皆さんおはよう。闘技場だから観覧席からの声援もあるので、緊張するのは仕方ないけど、普段の訓練の成果を存分に発揮するように!では、第1試合を始めるよ。AクラスとBクラスは準備しなさい!」
「「はい!」」
闘場には互いの先鋒が残る。Aクラスはキャメリア、Bクラスはセイラで、彼女はBクラスのNo.1の生徒だった。互いに槍を持って構えたところで、審判を務めるミナ先生の合図で、武術対抗戦が始まる。
「第1試合先鋒戦開始!」
互いに声をあげて動き出すと、キャメリアは相手の体力を少しでも削る為に防御の構えを、セイラは一気に決着を狙って大きく振りかぶった。
「セイッ!」
声と同時に槍を振り下ろすのかと思ったら、石突を握っていた手を離して、槍の柄を持った手で投げるように石突で思い切り突きを放った。
『ドスッ!』
「うぐっ……」
意表を突かれたキャメリアは、対応出来ずに腹部に突きが当たってそのまま倒れた。セイラが追撃をしようとしたところで、ミナ先生が試合を止める。
「勝負あり。勝者セイラ!」
「ありがとうございました」
一列をするセイラに対してキャメリアは跪いたまま動けないでいたので、私とクリスティが闘場に上がって肩を貸してなんとか降ろした。
(彼女は相当に強い……)
続いて次鋒クリスティが闘場へ上がる……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます