第41話 武術対抗戦の出場届

 武術対抗戦は4クラスによる総当たり戦。試合形式は勝抜き戦方式で行われる。


 事前に、先鋒・次鋒・中堅・副将・大将を決めた出場届を提出する必要があるので、5人のメンバーで話し合う。


「クラス内リーグ戦の成績順のキャメリア・クリスティ・キンバリー・私・マールで良くない?」

「他のクラスが、先鋒に強い者を持ってきたら巻き返せなくなるわよ?最近の勝抜き戦方式は、先行して押し切る形が多いのよ。先鋒は貴方かアイマールが務めるべきよ」


 グリアが成績順で行こうと言うと、キンバリー様は真っ向から反対したけど、これは嫌がらせではなく勝つ為の戦略だった。最近の流行りは、キンバリー様が言った先鋒と大将に強者を置く、先行押し切りが殆どだった。キャメリアとクリスティに感しては、この場で意見は言わないと思ったので、私の考えを提案してみる。


「他のクラスは、キンバリー様と同じ考えでメンバーを組むと思うの。私は少し違う考えで、キャメリア・クリスティ・私・キンバリー様・グリアが良いと思うの。2人には先鋒を体力の消耗と戦い方を引き出して欲しいの。倒せれば結果オーライだし、負けても元気な私が先鋒を止めて大将まで勝ち進めば、私が勝てなくても大将の体力を消耗させるから、後の2人で大将を倒して勝つ。こんな感じはどうかな?」


 キャメリアとクリスティは、キンバリー様の顔色を伺っている。もっと自分の考えを口に出せば良いのにと思っていると、グリアが何度か頷きながら返事をした。


「面白そうな順番ね。私はそれで良いわよ。キンバリー達はどうなの?」

「そんなにウマい流れになるとは思えないけど、捨て駒になるのは嫌だから、私を大将にするなら認めてあげるわよ」

「それはわがまま過ぎない?私とマールに負けてるのに何様なの?武術対抗戦で勝つ事を優先するへきじゃない?」


 大将にするなら認めると言うキンバリー様に、グリアはわがままだと注意をする。確かにグリアに負けているので、弱いキンバリー様を大将に置くのは不自然だもんね。当たり前の事を言われたのに『ムッ』とした表情で返事をした。


「それなら、私とアリグリアのどちらを大将に置くのか、メンバーで多数決を取りましょう。それが1番公平だと思うわよ?」


 クラス委員3人が居る時点で、多数決をすれば勝てると判っての提案だ。わがままだとは思ったけど、なにを言っても我を通そうとするんだから、多数決を認める事にした。


「では、多数決にしましょう。これは武術対抗戦で、Aクラスの勝利を最優先に考えて挙手をするようにお願いするね」


 私はキャメリアとクリスティに顔を向けて話した後に、大将の多数決を行った。そして、2人は当然のようにキンバリー様を選んで、Aクラスの大将が決まった事で、出場届を提出した。


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