第40話 イーブル子爵
私はイーブル子爵の身辺調査の報告書に目を通すと、気分が悪くなるような内容ばかりだった。その殆どが才能豊かな貴族令嬢達を、いや、貴族幼女達を己の欲望の為に傷付けている。
その手口は豊富な財力に物を言わせて、色々な方面から才能豊かな幼女の情報を手に入れる。そこからは金銭的困窮に追い込んで、目当ての幼女を1日自由にさせる事で、借金を帳消しにするという内容だ。
そして、優秀な幼女へ暴力を振るって絶望させて服従させて、最後は己の才覚〚
(なんなんだこの男は……化物じゃないの)
報告書を読み終えて、なんとも言えない怒りが込み上げてきた。判っているだけで10人の被害者が居る……実際には倍以上の被害者が居るはず。
そして、今回は娘のルクレツィアが、女学院に居る優秀な生徒を父に報告をすると、そのリストの中にアイマールの名前があったから、娘に伝言を頼んで本人なのか確認をしたのか。
イーブルは子供達を使って、優秀な生徒が居れば報告させてから、才能豊かな幼女が居ないか調べていたのか……
「これは、私だけじゃ解決は無理か……アリシャに声を掛けて、師匠にこの事を報告していいか確認しないとね」
思わず独り言を口にしてから、ソファーから立ち上がってアリシャの元へ向かった。
§イーブル子爵視点§
娘から手紙が届いた。
内容は、私が指示した事の結果報告で、〚
何故だ?あの時アイマール理魄に何度も〚
「クソッ!この私がミスをしたのか?あの時、完全に未来を奪い取ったと思い、最高の絶頂を迎えたのに……」
書斎で思わず叫んでしまった事で、執事が慌てて様子を見に来た。
「旦那様!なに事でしょうか!」
「何でもない。おい、レジストリー家を調べろ。アイマールという娘について徹底にだぞ」
私の言葉を聞いた執事は『ニヤリ』としながら質問をしてきた。
「その娘が次のターゲットですか?」
「以前に、愉しんだ玩具だが女学院へ入学してるらしい。ルクレツィアが確認した間違いない」
「かしこまりました。それでその娘をどうされるのですか?」
「ふん、成長した娘には興味はないが、ミスした事が腹立たしいから、理魄があるのならもう1度砕いて未来を奪う」
「仰せのままに」
執事が書斎を後にすると、沸々と感情が込み上げてきた。
(アイマール、お前の未来を奪ってやるぞ)
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