第39話 報告書
私が目を覚ますと、ずっと手を握りながら私の事を見守ってるアリシャが居て、目覚めた事に気付くと直ぐに声を掛けてくれた。
「お嬢様、おはようございます。ご気分はいかがですか?」
「うん、よくなったかな?ずっと傍に居てくれてたの?」
「勿論です。お嬢様の傍で見守るのが私の仕事ですからね。辛い事を思い出させてしまうのですが、昨日は何があったのでしょうか?」
昨日の事と言われて思わず身体が『ビクッ』と反応してしまう……アリシャはそんな私を包み込むように抱きしめてから、耳元で優しい声を掛けてくれた。
「大丈夫です。私がこうして一緒に居ますから安心してください」
何があっても、アリシャが守ってくれると安心しながら重い口を開いた。
「あのね……Dクラスの選抜委員にルクレツィア.イーブル嬢が私に話し掛けてきたの。『父からの伝言よ〚
「それは、あの日の男からの伝言という事なのですね?」
あの日、男が口にした言葉を忘れる訳がない。何度も繰り返された〚
「うん、絶対に間違いないよ。イーブル嬢の父があの男かその事を知る関係者のはず」
「判りました。私の方で出来る限り調べてみます。もし、男の似顔絵を作る事が出来たら、確認をする事は可能ですか?」
「う、うん……アリシャが居てくれるなら」
確認すると返事をすると身体が震え始めたので、私はアリシャに強く抱き着いてから目を閉じたの。
§ミナ視点§
アイマールの過去を聞いた翌日、アリシャから選抜委員の会合であった事の報告を受けた。
ルクレツィア.イーブルから、父の言葉を伝えられた事が原因だったようだ。昔のコネを使ってイーブル子爵家を徹底的に調べる事にした。
「調査結果が出るまでは、ルクレツィアの周囲を警戒するしかないわね」
独り言を呟いてから、私はDクラスに居るルクレツィアの監視を始めた。
彼女は典型的な貴族令嬢で、平民には全く興味がないようだ。クラス内の貴族令嬢とのみ仲良くしているが、その中でも成績優秀な令嬢へは、かなりのアピールをする取り巻きタイプだ。
会話の内容は少し特殊なもので、優秀な令嬢の兄弟姉妹の話しを聞き出してるように感じた。子爵家だから優秀な人材との交流をして、少しでも家にプラスになるように、必死にコネを作ってるようだ。
そこで疑問に思ったのがアイマールへした行為だった。彼女以上に優秀な者は居ないのだから、コネを作るなら絶対に外せないからね。そんな事を考えていると、イーブル子爵の身辺調査の報告書があがったので確認をして絶句した……
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