第37話 父からの伝言よ

 武術対抗戦へ出場するメンバーが決まった後は、私はメンバー同士での訓練を提案したが、キンバリー様は拒否した。キャメリアとクリスティは何か言いたそうだったけど、キンバリー様の手前だから何も言えないんだと思った。


 そして、武術対抗戦を翌週に控えた放課後に、選抜委員の会合が開かれるので、グリアと一緒に集会所へ向かう。


「ねぇ、今日の会合ではなにを話し合うの?」


 集会所へ向かってると、グリアから会合の事で話し掛けてきたので、移動しながら話をした。


「武術対抗戦の試合形式になるかな?互いの選手が順番に対戦する【対戦方式】か、負けるまで同じ選手が戦い続ける【勝抜き戦方式】かを決めると思うよ」

「そうなのね。例年はどっちの方式なの?」

「勝抜き戦方式だね」

「マールが居るからAクラスが有利だね」

「そうでもないよ?弱い選手はクラスの為に防御に徹して、強い相手のスタミナを奪う役目を担う事で、勝利に貢献できるんだよ」

「なるほどね。今日の会合は早く済みそうだね」


 話が終わった頃には集会所へ着いて、会合が始まるのを待っていると、1人の生徒が私達に近付いて来た。


「こんにちは、天才レジストリー嬢が居るから武術対抗戦も優勝するのかしら?」


 いきなり、嫌味混じりの言葉をかけてきた。


「貴女はDクラスのルクレツィア.イーブル嬢だったかしら?」

「バーラント嬢に名前を覚えて頂けるなんて光栄です。女学院での立ち回りを見る限りは、噂は所詮噂だったのですね。では、失礼します」


 イーブル嬢はそう言って、私のすぐ横を通り過ぎる時に小さな声で囁いた。


「父からの伝言よ〚崩壊コラプス〛」


 その言葉を聞いた瞬間、私の身体が『ビクッ』と反応して悪寒が走った……私がイーブル嬢の方を向くと、彼女は微笑んだ後にウインクをして、Dクラスの委員長が座る席へと戻って行った。


(父って……あの男の娘なの……)


 ミナ先生が集会所へ来て、武術対抗戦の会合が始まる。私の頭の中は耐え難い苦しみを味わった時のことを思い出して、会合の内容は耳に届いてなかった。そして、会合が終わると私はミナ先生に残るように呼び止められた。


「アイマールは少し残ってくれる?」

「はい」


 グリアを含む選抜委員が退室すると、私は緊張の糸が切れて倒れそうになったけど、ミナ先生は私を抱き寄せてから、ゆっくりと席に座らせてくれた。


「会合が始まる前から、かなり具合が悪そうだったから、気になってたの大丈夫?」

「すみません……少し休めば問題ありません」

「そう、貴女のメイドを呼んでくるけど、1人で大丈夫?」

「はい、ご迷惑をおかけします……」

「いいのよ。少し待っててね」


 ミナ先生がアリシャを呼びに集会所を出ていくと、身体中が震えだして止まらなかった……私は机に身を任せてアリシャが来るのを待った。





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