第36話 武術対抗戦メンバー決定

 クラス内リーグ戦2日目。


 今日で武術対抗戦のメンバーが決まる。残念な事だけど、平民のクラスメイトはメンバーに残る事は出来なかった。ただ、善戦してた子が数名居たので、後期のリーグ戦では逆転の可能性を感じたの。


 気になるメンバーは私、グリア、キンバリー様、キャメリア、クリスティの5人になった。クラスメイト達の興味はというと、ここまで全勝の3人の対戦だったの。そして、3人の最初の対戦は私とキンバリー様の模擬戦闘の再戦になった。


「次はアイマールとキンバリーね」

「「はい」」


 キンバリー様の双剣で見るからに高級な模造武具で、私は女学院で貸し出される槍の模造武具を手にしていた。


「そんな粗末な物でいいのかしら?」

「私は自前の模造武具なんて、持ち合わせてないので問題ないですよ」

「準備はいいわね。始め!」


 先生の掛け声で戦闘開始。


 キンバリー様が間合いを詰めて連続斬りを仕掛ける。前回の木剣と違って格段に速いけど、右手を添えるように槍の柄を持ち、石突を持った左手で槍を巧み動かして弾いていく。


『カキッ、キン、カッ、カキン!』


 双剣の強みといえる圧倒的な手数で、押し切ろうと連続で仕掛けてくるけど、私は軽く弾く動作から一気に力を込めて、双剣を左右に大きく弾いた瞬間に、石突を下へ押すと同時に右手の手首を返す事で、下から石突を振り上げて顎の手前で寸止めする。


『ピタ』

「うっ……」

「それまで、勝者アイマール!」

「ありがとうございました」

「……」


 今回も私の圧勝に終わり、キンバリー様は試合後の挨拶も口にしないまま、悔しそうな表情で闘場から下りていった。


 暫くすると、私とグリアが先生に呼ばれて、闘場へ上がって声を掛け合う。


「全力で行くわね」

「では、私もそうするよ」


 言葉を掛け合った後は握手を交わして、グリアは青い柄に金色の穂をした槍を、私はアリシャから渡された母が愛用していた扇だ。扇は金色の親骨に緑色の扇面という物で、私と母の髪色と同じ物だった。


「準備はいいわね。始め!」


 グリアが突きで牽制してくる。一気に間合いを詰められる事を避ける為の常套手段だ。


「やっ、やっ、えいっ!」

『カッ、カッ、キンッ』


 私は閉じたままの扇で、軽く弾きながら間合いを詰めようとするけど、軽いバックステップでなかなか詰める事が出来なかった。ただ、牽制だけで有効打に繋げる余裕はなく、私が闘場の角へと誘導してる事には気付いてなかった。


「あっ……」

「間合いを取る時に立ち位置の確認を怠ったね」


 そこからは私が攻勢に出る。

 苦し紛れの突きは左手の扇で弾いて、右手の扇を広げてから身体を回転させて、水平に振り抜くとグリアは槍で受けると、私は左の扇を『ポン』と頭の上に置いた。


「それまで、勝者アイマール!」

「「ありがとうございました」」


 私は全勝で1位、グリアはキンバリー様との模擬戦闘に勝利して2位となり、2日に及ぶクラス内リーグ戦は幕を閉じた。



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