第34話 武具の見極め

 翌日の放課後は、ジュリエッタ先生に訓練場の使用を認めてもらった。


 これまでの授業でクラスメイト全員が武具を選んでいるけど、私は改めて適性武具の見極めを提案した。私達貴族は5歳辺りから武術の訓練を始める。最初は基礎武具と言われる剣と槍で訓練して、スピードが優れていれば剣を、パワーに優れていれば槍を選択する事が多い。他にも動体視力や瞬発力も加味されていくが、この2つはどちらの武具にも活かせるので、今回はスピード型かパワー型かを確認して、基礎武具を見極めるのが妥当だと判断をしたの。


 放課後になって、クラスメイトが訓練場に集まったところで、私が今日の主旨を説明する。


「みんな集まったね。今日は武術対抗戦へ向けての訓練をする前に、みんなは基礎武具である剣か槍を使ってると思うけど、みんなの特性に合ってるか確認させて欲しいの」

「武具に特性があるの?」


 マナは少し首を傾げながら質問をする。私の説明は途中だったけど、説明しようと思った内容だったので、良いタイミングなので質問に答える。


「少しだけ違うかな?例えばさ、動きが速いけど非力な人の場合なんどけど、この人の場合は剣が合うんだよ。槍よりも軽い剣を持つ事で、その人の速さを活かした手数で戦う事が出来るよね?」

「あっ、重い槍を持てば速さを殺すから、その人の特性が活かせないんだね!」

「そういう事、個人の特性に合わせて基礎武具を選べば、武術の上達が早いんじゃないかな?」

「「おぉー、流石マール!」」


 みんなが私を褒めてくれたけど、ミナ先生のアドバイスのおかげなんだよね。


(ミナ先生、みんなが貴女を褒めてますよ!)


「そんな訳だから、スピード型の娘は剣を、パワー型の娘は槍を、両方の娘は好きな武具を選んで、武術の訓練を行おうと思うのよ。これから基礎体力を測定して特性を見るわよ」

「「はい」」


 グリアがみんなに声を掛けた後に、私が用意したメニューに従って、みんなの基礎体力を測定して武具を決めていったの。


§ミナの視点§

 ジュリエッタから、アイマール達が訓練場を使用すると聞いたので、少し離れた場所から確認をする。


 個人の基礎体力を測定しての武具選び、単なる早さだけじゃなく、瞬発力や持久力まで測定するのは基礎武具の先を見越してるんだね。本当に賢い娘だねアイマールは!


『コツン!』

「痛っ……師匠!」


 訓練場を眺めていると、師匠である学院長が私の頭を杖で叩いた。


「あの緑色の髪をした娘かい?」

「トリスタン王国で、最高戦力と呼ばれた師匠にはどう見えますか?」

「フォースかい、理力量はあたしの学生時代よりも多いじゃないか。とんでもない逸材だけど、なんで女学院に来たんだい?」

「それは不明です。弟子にされれば理由を聞けるのでは」

「ふむ、弟子にするかは、武術対抗戦を見てから決めさせてもらうよ」

「判りました」


 師匠はそう言った後に訓練場を去っていった。私も最後まで見届けずに訓練場を後にする。


(アイマール、もうすぐ私の妹弟子になるんだね。楽しみで仕方ないよ!)

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