閑話 学力対抗戦の後に……

 §アリグリア視点§


 学力対抗戦の個人戦で私は次席となり、銀のリングを与えられた。250点というものは例年なら首席を取れる点数だったみたい。


「レジストリー嬢は別格なので、お嬢様が実質的な首席ですね。この結果を実家へ報告すればご両親からお褒めの言葉を頂けますね」


 ダブネは嬉しそうな表情をしながら話した後は、実家への報告をする為に寮長の元へと向かって行った。


 私は両親の期待を裏切り続けてきたから、今回の学力対抗戦の結果くらいでは、褒められる事は無いだろうと思った。


(でも、褒められたら嬉しいな)


 ダブネが実家へ報告をしてから1週間が経つと、母から手紙がきたので、少しだけ期待をしながら開封する。


 気になる手紙の内容は……


『ダブネより、報告を受けたわ。女学院で次席なのは、バーラント家としては残念な結果です。ただ、250点という内容は王立学園では底辺レベルだと確認したの。もっと努力をして、後期にある王立学園への編入試験を受けて合格するように』


 私の期待は虚しく崩れ落ち、後期にある王立学園への編入試験を受けて、合格しろと言われた。私は目を瞑って手紙を封筒に戻す。


「手紙の内容はどうでしたか?」


 ダブネは褒められたと思ってるようで、手紙の内容を聞きたいみたい。私は『ふぅ』とため息をついてから返事をする。


「次席だった事を残念と言われたわ」

「えっ……次席なのに」

「それと、後期にある王立学園への編入試験を受けて合格しろって……」

「そんな……」


 私達の間に沈黙が続いた後、私はダブネに今の想いを伝える。


「私は編入試験を受けるけど、合格を目指さない事にするわ」

「そんな事をすれば奥様が失望されますよ?」

「良いわ。このまま女学院で頑張って、教員資格試験に合格して見返すの。王立学園で学ぶよりも、マールと一緒の方が成績は上がるわよ」

「かしこまりました。これからも全力でサポートをしますね」


 この手紙を読んだ日から、母の言いなりにはならず、自分の意志で生きていこうと心に決めたのだった。


 §ある生徒視点§


 学力対抗戦の結果が出たので父へ報告をする。報告といっても私の成績ではなく、個人戦のリングを与えられた生徒の報告。


 父は家族には興味がない。興味があるのは才能のある可愛い女の子のみで、兄にも成績優秀な女生徒の報告をさせていた。報告をした後に父がなにをしてるのかは知らないが、碌な事はしてないんだと思う。


 私は父が居るから裕福な生活を送れるので、父の命令に従うだけなの。父がなにをしてるかなんて、知った事ではないもの。


◇◇◇


 この女生徒の報告がアイマールを苦しめる事になるのだった……


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