第29話 クラス委員の令嬢達

 キンバリーは席で俯いていた。


(そんな……私が平民より劣ってるなんて……)


 前日に行われた模擬試験の結果が発表された。


 私の予想では、アリグリアが選抜メンバーから漏れるものと思っていた。だって、バーラント家の出来損と言われてるんだもの……それが蓋を開けてみれば、アリグリアは2位だった。

 まさかの結果に驚いたけど、次は私の名前が呼ばれると思ったら、3位マナカ……私でもなく他の貴族令嬢でもない、平民の名前を読み上げられて教室内が湧き上がる。その後も読み上げられ、私は6位でトップ5に入れずに、選抜メンバーから漏れてしまった。


(嘘……こんな事はありえないわ……)


 午前の授業は、ショックのあまり全く耳に入らずに終わった。寮へ戻ろうとすると、いつも行動をともにする3人が近付いて来ないので、気になって教室に目を向けると、ショックで席で俯いたままメイドに慰められていた。私には声を掛ける余裕は無かったので、彼女達を置いて寮へ戻って席に着く。


「お嬢様、今回の模擬試験の結果を、奥様へ報告しなければなりません。ご自分で手紙を書かれますか?」

「な、なんて書けばいいのよ!あなたが書いて報告をしておきなさい!」

「かしこまりました」


 私はお母様から叱責されるだろう……バーラント家の出来損ないに負けただけではなく、平民にも負けて学力対抗戦から漏れたのだから……


(今回は苦手な問題が多かったのよ。次の武術では本当の貴族の力を見せつけやるわ!)


◇◇◇


 私はマナカ達に声を掛けてから寮へ戻ろうとすると、教室にまだ生徒が居る事に気付いた。


 クラス委員の3人だ。キンバリー様の姿は見えないので先に戻ったのかな?

 3人は席を立ち上がれず、メイド達に慰められてようやく立ち上がろうとした。


「お嬢様、部屋へ戻りましょう」

「少し待ってくれる?」

「かしこまりました」


 アリシャが私に声を掛けてきたけど、3人が気になったので声を掛ける事にした。


「ねぇ、大丈夫?今回は残念な結果だったね」

「大丈夫?あなたが平民に力を貸すからよ!」


 アンナマリアが怒りながら答えた。


「一緒に勉強をしただけだよ。貴女達も部屋に戻って勉強をしてたんでしょ?」

「っ……」


 アンナマリアは黙り込み、私が勉強会をする事のメリットを伝えると、クリスティが喰い付いたてきた。


「私達は勉強会で、判らないところを教え合ってたの。その方が効率が良いでしょ?」

「平民に教えずに私達に教えなさいよ」

「私は平民ではなく、クラスメイトとして対等に接してるの。教えて欲しいなら勉強会に出れば良いんじゃないの?」

「っ……」


 クリスティも黙り込む。


「もし、勉強がしたいのなら放課後に残って声を掛けてね?私達は貴女達を拒まないから」


 そう伝えると3人は黙ったままなので、私はアリシャと教室を後にしたの。


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