第25話 拒絶するキンバリー

 私とアリグリア様がキンバリー様の部屋へと向かうと、クラス委員の3人が待っていた。


「アリグリア様達は、キンバリー様に何を言うつもりなのですか?」


 アンナマリアが代表して何用か訪ねてきた。私が模擬戦闘に勝った事で避難でもしにきたと思ったのかな?私はいがみ合わずにAクラスの為に、仲良くとまでは言わないけど、普通に接して欲しいと思ってるのでその事を伝える。


「避難をするつもりはありません。もう少しクラスメイトに歩み寄って欲しいと伝えにきたの。仲良くした方が楽しいでしょ?」

「その言葉に嘘偽りはないのね?」


 キャメリアが疑ってる訳ではないけど、一応は確認の意味をこめて聞いてきたんだと思う。その事に対してアリグリア様は3人に向かって提案をした。


「私達を疑うのなら、貴女達も同席すればいいのよ。マールは構わないわよね?」

「構いませんよ。クラスの貴族同士で話す良い機会だと思うもの」

「「では、ご一緒するわ」」


 3人のクラス委員も一緒にキンバリー様の部屋へと入って話をする事になった。


『コンコン』

「アリグリアよ」

『ガチャ』

「お待ちしてました。お入りください」


 ドアをノックをして声を掛けると、専属メイドがドアを開けて私達を招き入れ、キンバリー様の待つ応接室へ通された。


「ごきげんよう。時間を取らせて悪かったわね」

「ふん、文句でも言いにきたのよね?」


 アリグリア様が挨拶をすると同時に不貞腐れた態度で悪態をつく。私とアリグリア様は顔見合わせて苦笑いをするしかなかった。


「文句なんて言いませんよ。クラスメイトともう少し仲良くしませんか?そしてAクラスをもっと盛り上げましょうよ?」

「ふざけないで私は伯爵令嬢なのよ!平民なんかと仲良くなんてしないわ」


 頑なに平民を拒むキンバリー様は即答した。他の3人も同じ考えなのか確認をする事にした。もし仲良くなる気があるのなら、キンバリー様を説得してくれるかも知れないと思ったからね。


「キャメリア達もキンバリー様と同じ考えなの?ずっと4人だけで過ごすのって辛くない?」

「私は貴族なの……平民とは仲良くなんて……」

「本当にそう思ってるの?生まれが違うだけで同じ人間なんだよ?」

「私は貴女ほど柔軟に対応できないわ……」


 アンナマリアとクリスティもキャメリアの言葉の後に頷いた。私にはその考えが理解できないけど、この4人は貴族の呪縛に囚われてるんだね。


「判ったでしょ?貴女がなにを言っても私達は変わらないわよ。貴族の恥さらしは出ていって!」


 最後にキンバリー様が放った言葉が全てだった。彼女は私がなにを言っても拒絶するのだと理解した。少しでも関係を改善しようと話し合いの場を設けたけど、噛み合わないまま終わったのだった。


(私は貴女達を認めない……本来の貴族という存在は人を蔑むのではなく導くんだよ)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る