第24話 クラスメイトに感謝する
模擬戦闘で連続で敗れた事に、ショックを受けたキンバリー様は崩れ落ちたままだ。
私が近寄って声を掛けようとすると、ミナ先生が肩に触れて首を横に振ったあとに、キンバリー様の元へ歩み寄って声を掛けた。
「キンバリー、アイマールに負けるのは仕方ないんだよ。彼女は王立学園を目指せば合格できる程に優秀なんだからね。受験した貴女なら今の言葉で判るでしょ」
「王立学園……そんな者が女学院にきて優越感に浸って喜んでるのね!」
悔しそうな表情をしながら私に向かって声を荒げる。私は異性に対する恐怖心から、男女共学の王立学園へは通えない。その事をこの場で話すことはできないので答えることが出来なかった。
「優越感に浸るような者が、平民の生徒に勉強会なんて開かないわよ?ずっと敵視してアイマールの事を見てた貴女なら、そんな事くらい判るでしょ?」
「そうだよ!マールは誰にでも平等に接してくれて、クラス委員みたいに私達を蔑んで見下さないわよ!」
アリグリア様は、何も言えないでいた私をフォローしてくれた後に、クラスメイト達も続いてキンバリー様の言葉を否定した。私は素晴らしいクラスメイト達に心から感謝した。
「キンバリー、今は負けたばかりで冷静な判断ができないと思うけど、自分のこれまでを見つめ直してみなさい。それでも変わることができなければ、貴女は立派な淑女にはなれないわよ」
ミナ先生の厳しい一言に、キンバリー様は俯いて何も言い返せなかった。
「全ての模擬戦闘が終わったから、午後の授業はこれで終わるわね。それでは解散!」
「「ありがとうございました」」
ジュリエッタ先生が授業終了と言われたので、生徒達が闘技場から戻っていく中、キンバリー様とクラス委員達はその場から動かなかった。
(キンバリー様と向き合って話す必要があるね。アリグリア様に相談してみよう……)
授業が終わった後は、いつも通りにクラスメイトと教室で勉強会を開いたけど、私の才覚の事で質問攻めにあって勉強会どころではなかった。
勉強会が終わった後に、私は意を決してアリグリア様に相談をする事にした。
「グリア、少しいいかな?」
「良いけど、どうかしたの?」
「キンバリー様の事なんだけど、クラスの貴族令嬢だけで話し合ってみない?私はクラス全員で仲良くしたいから」
「ふふっ、マールは本当に優しいわね。貴女の頼みなら断れないよ。今から声を掛けに行くの?」
「うん、早く話し合う方が良いと思うからね」
「判ったわ。ダブネ、キンバリーと話し合いをしたいから伝えて来てくれるかしら?」
「かしこまりました」
ダブネがキンバリー様の部屋へ向かって、話し合いをしたい事を伝えにいったので、私達は部屋へ戻って話し合いへいく準備をした。
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