第21話 苛立つキンバリー
クラスメイトとの親交を深めて、今では愛称で呼び合うようにまでなり、些細な事でも話せるようになった。勉強会の後には互いの部屋を訪れて放課後を楽しむほどだ。
勉強会をした事で、クラスメイトは学ぶ事の面白さが判って、クラスで実施される小テストでも点数を伸ばして、目に見える成果が現れて自信を持ち始めたの。
そして、昼食を終えて午後の授業が始まるまで、クラスメイトと雑談をしていた。
「トップ5に入れば、私も選抜対抗戦に出れるかな?」
「そういうルールだからトップ5になって、選抜メンバーになれば出れるから頑張ろうね」
「マールとグリアには勝てないけど、残り3枠に入れるように頑張るよ」
そんな話を私とミルカがしていると、キンバリー様が険しい表情で割り込んできた。
『バンッ!』
「調子に乗らないでくれる?小テストの点数が少し良かったくらいで、選抜対抗戦に出れるなんて思わないでね!」
力を込めて机を叩いてから、周りのクラスメイトにも聞こえるよう大声をあげた。全員が私達に視線が集まる中、私はキンバリー様へ反論する。
「確かに今の点数ではトップ5に入ってませんが、着実に点数を伸ばしてます。私達は勉強を開始するのが早かった為に貯金がありますが、ミルカが勉強を頑張れば追い付くかも知れませんよ」
「3歳の頃から積み上げてるのよ!入学してから学び始めた者に負ける訳がないわ!」
「確かに、前期の選抜対抗戦には間に合わないかも知れませんが、後期には追い付くかも知れませんよ?女学院では家庭教師付ける事が出来ませんから、自己研鑽に励んだ者が成績を伸ばすと思ってます」
「その程度で高貴なる貴族が平民に負ける訳がないわ!生まれながら優秀なのですからね!」
「何度も言いますが、同じ女学院に入学してる時点で、全員が優秀なんですよ」
同じ女学院に通っているのに、自分は別次元にいると思ってるようなので、改めてその事を伝えると更に機嫌を損ねてしまった。
「男爵家風情が!格の違いを思い知らせてあげるわ!武術で私と勝負しなさい!」
「意味が判りません。確かに模擬戦闘は認められてますが、私には勝負する意味がありません」
真っ赤な顔をしながら勝負しろとか言われて、なぜ話をしてるのに武術勝負の話になるのか、意味が判らなかったので断る。
「私が勝負しろと命令してるのよ?貴女は黙って受ければいいのよ!」
「騒がしいわね。何を揉めているの?」
ジュリエッタ先生が教室へ入るなり、私達の揉めてる理由を聞いてきたので、私は事情を説明すると呆れ顔になっていた。
「はぁ~、それでキンバリーはアイマールと模擬戦闘をすれば納得できる訳なの?」
「当然です!話し合いでは平行線になるのであれば、白黒をつける為の武術勝負なのです」
「う〜ん、アイマール、午後の授業は武術だから、模擬戦闘をしてあげなさい。」
「先生がそう言うのなら従います」
こうして、私とキンバリー様で模擬戦闘という武術勝負をする事となったの。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます