第20話 クラスメイトと親交を深める
私達Aクラスはクラス委員の4人だけが浮いた存在になっている。
私とアリグリア様は、平民の生徒達に勉強やマナー等の勉強会を開く事で、今では身分差別をしない貴族令嬢として受け入れられた。だけどキンバリー様達は頑なに仲良くする事を拒んでいた。
その事はクラス委員としての活動にも影響が出始めて、クラス行事をまとめる事が出来ずに、先生からもその事を注意される度に不機嫌になる。
「いい加減に平民ではなく、同じクラスメイトだと認めれば楽になれるのにね」
勉強会をしているとそんな声が聞こえてくる。私もそう思うけど、貴族としてのプライドがそれを許さない事も判る。
「それが出来ないのも貴族なんだよ。他のクラスも何かしら問題を抱えてるみたいだもん」
「でも、アリグリア様とアイマール様は別け隔てなく接してくれますよね」
商人の娘マナカがそう言うと、アリグリア様は少し照れ臭そうに私を見ながら返事をした。
「私は、アイマールの手伝いをしただけよ。そうじゃなきゃキンバリーと同じ事をしていたわ」
「いいえ、アリグリア様は自ら意志で参加してくれましたよ。私の家は男爵家の三代目で、私は女学院を卒業すれば平民になります。なのでクラスメイトと交流する必要がありましたから」
私は平民になり、人里離れた場所で静かに暮らすつもりでいる。1人では生きる事が出来ないからクラスメイトと繋がりを持つ必要があるの。
アリグリア様は伯爵家だから、家柄に拘なければ貴族へと嫁げる筈だ。それなのに私と同じように平民の勉強会に参加してくれた。今ではトゲもなくなり、このまま女学院で頑張れば素晴らしい淑女になれると思う。
「なんと言われても、2人とも素晴らしい貴族令嬢ですよ。出来れば3年間を同じクラスで過ごしたいです」
マナカの言葉は、私達にとって最高の褒め言葉だった。私はクラスメイトとの関係をもっと深めたいと思い、敬称ではなく愛称で呼び合う事を提案した。
「女学院の間はクラスメイトとして、敬称呼びではなく愛称で呼び合わない?私の事はマールと呼んで欲しいの」
私の提案を聞いた周りのクラスメイトは驚いて何も言えなかった。
「さ、流石に愛称で呼ぶ事には抵抗が……」
「いきなり愛称が難しいなら、勉強会の時にアイマールと呼ぶ事から始めましょう」
「あの〜、本当に敬称で呼ばなくても良いのですか?」
「うん、敬称も敬語も不要だよ。だってクラスメイトなんだから」
私が手本とばかりにくだけた言葉で話し掛けると、みんなが顔を見合わせて頷いた後に、声を合わせて返事した。
「「アイマール、よろしくね」」
「じゃあ、私の事もアリグリアと呼んでね!」
「「うん、アリグリアもよろしくね!」」
この日から私達の距離は更に縮まっていった。そして愛称のマールとグリアと呼ばれるまでの時間は、そんなに掛かる事はなかった。
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