第18話 教師の会話
選抜委員会が終わった後に、生徒達の間で起こった揉め事を収めて事後処理をする。
先ずは当事者の担任へ事の顛末を説明をする。加害者の担任は『上級貴族へ逆らうのが悪い』等と文句を言っていたが、担任風情が子爵である私に逆らえず謹慎と、選抜委員長から降格する罰を与えるように命令をした。
次に被害者の担任へ声を掛ける。
「ジュリエッタ先生、少し時間をもらっても良いかしら?」
「ミナ様、何かご用ですか?」
「ちょっとね、選抜委員会の後に問題が発生したんでその報告をするよ」
その後はボウマン侯爵令嬢とマクラム伯爵令嬢が絡んだ事の説明をした。
「そんな事があったのですか?しかしアリグリアがアイマールを庇いましたか」
私の説明を聞いたジュリエッタは少し嬉しそうな顔をしていた。アリグリアと言えば名門バーラント家の『出来損ない』っめ噂で有名だからね。
「確かに噂とは違ったようだけど、アイマールとの出会いで変わったのかな?」
「確かにアイマールは不思議な生徒ですよ。彼女の前ではアリグリアも大人しくなりますから」
「まぁ、学院長にも報告はするけどさ、周りからの嫌がらせは続くと思うから気を付けてね」
一応は私も注意するけど、担任のジュリエッタにも気を付けるように伝えておいた。
しかし、この女学院や王立学園に言える事だけど、爵位を持たない生徒が親の威を借りて偉ぶっているね。そんな事を考えているとジュリエッタが質問をしてきた。
「ミナ様はレジストリー子爵を名乗られてますが、アイマールと血縁関係にあるのですか?」
「ないよ。私が子爵位を得た時に、私の尊敬するセブンスター学院長からレジストリーの家名を頂いたけど、私は平民からの成り上がりなんだよ」
「そうでしたか。同じレジストリーなので血縁かと思いました」
「まぁ、珍しい家名だからそう思うよね」
アイマールと同じ家名だから、血縁関係にあると思うのは仕方ないね事だね。しかし彼女が女学院へ入学してきた理由が判らない。王立学園だって余裕で入れた筈なのにと思ったので、遮音魔法を張ってジュリエッタにその事を話した。
「それにしても、あれ程の天才が王立学園へ行かずに女学院へ来たのかね〜?」
「フォースの理魄だけでも入学に値しますよね?しかもあの学力なんだから、王立学園へ首席入学も余裕だったと思うんですよね」
「何か理由があるんだろうね。王家の妃候補に成りたくないんじゃない?なんせあの糞馬鹿王子だからね」
「ミナ様、声が大きいですよ!」
「大丈夫、遮音魔法してるから聞こえないよ」
「そうなんですね。誰かに聞かれてたら不敬になるところだから心配しましたよ」
最後は糞馬鹿王子の事で笑い合ってると、背後から声を掛けられ心臓が止まりそうになった。
「ミナ、糞馬鹿王子とは私の孫の事を言ってるのかい?」
「が、学院長?!聞いてました?」
「あの程度の遮音魔法じゃ、私の集音魔法なら丸聞こえだよ。この未熟者め!アポを取っていて時間を過ぎても来ないから探しておったら、孫の悪口を言ってくれるとはいい度胸だね」
そう言った後は私の耳を引っ張りながら学院長室へと連行されたのだった……
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