第17話 爵位の意味
集会所の外で揉めていると、私達の元へミナ先生がやって来て、騒ぎの原因を聞いてきた。
「貴女達は何を騒いでいるのかしら?」
「騒ぎだなんてとんでもない、少し話をしていただけですわ。解散するところでしたので失礼致します」
ボウマン嬢がそう言ってその場から去ろうとすると、ミナ先生は命令口調で呼び止めた。
「カタリナ待ちなさい!貴女だけに聞いてないの。アリグリアとアイマールから話を聞くまではこの場に留まりなさい」
「先生とはいえ侯爵家の私に命令をするなんて、パパに言いつけてクビにしてもらうわよ?」
ボウマン嬢は先生に対しても、ボウマン侯爵家の名を出して脅しを掛けたけど、先生は臆する事なく余裕の表情で返事をした。
「好きなように言っても良いけど、その事で貴女は侯爵様に怒られるわよ?それと爵位について教えてあげるけど、爵位はお父様の物であって貴女は令嬢なだけで爵位を有してないのよ。私の爵位は子爵だから階級で言えば私が上になるのよ」
「なによ!私がパパに怒られる訳がないわ。私はいずれ最上級の貴族へ嫁ぐんだから、先生より上になるのよ!」
ボウマン嬢は先生の言った言葉が理解出来てないみたいだ。仮に嫁いだとしても爵位を持ってるのは旦那であって彼女ではない。なので王妃にでも成らなければ階級で上回る事はできないの。
更に王立学園と女学院は地方の学校とは違って、法律で守られている事を知らないようだ。
「ボウマン嬢、王立学園と女学院は国の法律で守られてるので、貴族といえど介入する事を許されてません。なので、ボウマン侯爵様が女学院へ圧力をかける事は出来ないのです」
「うん、アイマールは本当に賢いね。カタリナも見習いなさいね!せっかくだし何があったか教えてくれるかな?」
「はい」
私がボウマン嬢とマクラム嬢に言われた事を包み隠さずに説明すると、先生の表情は険しくなっていった。
学園では平等を謳っているので、多少の事なら見逃してはくれるだろうけど、ここまで露骨な嫌がらせは見逃せないみたいだった。
「アリグリア、今の話に間違いはない?」
「ありません」
「判ったわ、学院長へ報告させてもらうわね。カタリナとマリシアの家には、女学院から注意勧告をする事になるから覚悟はしておくね」
「えっ?」
「なんですって?」
「2人の罰については後日言い渡すから、決定するまでは寮で謹慎してなさい」
「くっ……」
「そんな……」
2人は『ガックリ』と項垂れながら寮へと戻って行って、BクラスとCクラスの副委員長は先生に頭を下げた後に2人を追った。私達も先生に頭を下げて戻ろうとすると話しかけられた。
「アイマール、貴女はとても優秀だから、発言の事で他の貴族令嬢の反感を買うかも知れないわね。そんな時は担任か私を頼ると良いわ。1人で処理するとかは考えないで報告するのよ?」
「はい、ありがとうございます」
私は先生にもう1度頭を下げてからアリグリア様と寮へと戻っていった。
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