第16話 嫌味な令嬢達

 選抜委員会の会合が終わったので、私とアリグリア様が寮へと戻るのに集会所を出ようとすると、他のクラスの委員が私達を呼び止めた後に近寄ってきた。


「お持ちなさい」

「何かご用でしょうか?」


 呼び止められた理由が判らなかったので、少し首を傾げながら聞き返した。


「私はCクラスの選抜委員長を務めているボウマン侯爵家四女の【カタリナ】よ」

「私はBクラスの選抜委員長を務めているマクラム伯爵家五女の【マリシア】よ」


 その後ろには2人のクラスの副委員長が控えていた。名前を名乗らないという事は子爵か男爵の令嬢なのだと理解した。


「ボウマン嬢にマクラム嬢、私達に何かご用でしょうか?」


 用があるのかを聞いたのに、2人は名前しか言わないのでもう1度聞いてみると、不機嫌そうな表情をしながらボウマン嬢が口を開いた。


「先生はあのように言われたけど、下級貴族風情が調子に乗らないでもらえるかしら?」


 調子に乗ったつもりは無かったけど、悪いところがあったのなら謝罪するべきだと思ったので、ボウマン嬢に聞き返した。


「申し訳ありせん。どこが悪かったのか自覚がありませんので、宜しければ教えて頂けまんか?」

「会合の場において、上級貴族である私が発言する前に、アナタが勝手な事をしたと言ってるのも判らないのかしら?」


 ボウマン嬢の言ってる意味が判らなかったけど、相手は上位貴族の令嬢なので謝罪をする事にした。


「私は誰も質問をしなかったので、疑問に思った事を聞いただけですが、勝手な振る舞いをしたという事であれば謝罪します」


 私が頭を下げると、マクラム嬢が追い打ちを掛けるように口を開いた。


「下級貴族が先生に取り繕っても意味はないのよ。上級貴族の前では努力なんてしても意味がない事を理解しないさいよ!生まれながら高貴な私達と、成り上がった下級貴族とでは格が違う事を覚えおきなさい!」


 私が2人の令嬢からの口撃を受けていると、アリグリア様が私の前に立った後に、2人に向かって語気を強めて言い返した。


「上級貴族だ、下級貴族だ、平民だとか言ってるみたいだけど、同じ女学院へ入学した時点で能力の差なんてないんじゃないの?格が違うと言うのなら、その権力で王立学園へ入れたんじゃないの?」


 同じ上級貴族でも格上のボウマン嬢は、アリグリア様の言葉を聞いて、顔を真っ赤にして大きな声を発した。

 

「侯爵家の私に向かってそんな口を聞いて、パパに言いつけてやるわよ!」

「私の事で苦情を言っても無駄ですよ?貴族の世界では『出来損ない』と言われてますからね」


 集会所の外で揉めていると、私達の元へミナ先生がやってきた。



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